H様邸
建築地:宇土市
2011年10月竣工
土地面積259.17u
延床面積105.52u(31.9坪)
建築面積112.75u(34坪)
設計:古川保・長尾陽子
施工:ユートホーム 棟梁:塩見一久

 基礎は大事だと基礎に費用をかけることが多くなった。ベタ基礎が強いという風潮があり、地盤が弱い場合建物は50トンの重さなのに60トンの重さの基礎をつくることも少なくない。そうすると建物と基礎の重さが110トンとなり建物の沈下を助長する可能性がある。東日本震災で、埋立地に液状化の被害が多く発生した。どんなに頑丈な基礎をつくっても地球の変動には抵抗ができない。頑丈な基礎ほど修復が大変で、不等沈下を水平にする修復工事費用は500万円をこえる。多額な費用をかけても根本的な解決策ではなく、再び液状化が発生すれば沈下する。「宇土の家」は軟弱地盤だった。砂地盤ではないとのことではあったが地下深くのことは分らない。とにかく軟弱地盤で15M以内に支持層がないことは事実だ。支持層があっても15Mを超える杭工事は800万円近くの費用がかかる。近くの他の現場では5〜6Mの杭工事をしていたがその効果はいかほどだろうか。日本の昔の家は基礎石の上に柱を乗せただけだった。この石場建て工法は地盤沈下に対抗するものではないが、沈下した場合には容易に修復が可能な工法だ。基礎を上げるのではなく、柱間をつないだ足固め材を上げれば柱も上がり、建物をあげる仕組みだ。昔ながらの日本の家は自然災害と付き合うローコストな建築手法である。日本は台風、地震、雪、高湿度、高温、雷、竜巻、軟弱地盤と、建築にとって最も悪条件の国である。そのため世界に冠たる建築技術が芽生えた。それなのに、千数年の日本の建築技術を捨て、合理的な欧米の近代建築技法を取り入れてしまった。想定外では悲惨な失敗をする。液状化もその一つだろう。