10年になるだろうか。Kさんが最初に私たちの家づくりの現場案内会に来られたのは。10数年前は新幹線が通るかもしれないとは漠然とあった。在来の線路の外にレールを1本追加した広規格という話もあったころだ。K邸は新幹線口の目の前であり、3月11日は、12日の新幹線開通記念イベントに家族総出でお祭りの準備をされていた。その時東日本大震災が起きた。新幹線は開通したものの、イベントは中止になった。日付け入りののぼり旗や看板は役目を果たせず処分となった。その後に伝わる地震の被害の大きさに、人間は自然に対して克服出来ないことを思い知らされた。壁倍率の高い筋交いを入れれば地震に強い家が出来ると信じている人が多い。地震に立ち向かい強化するより、自然にはかなわないので、立ち向かうのではなく柳の木のように萎れて、基礎から逃げるのが良いという日本の建築構法を選択するほうが良いと思う。基礎に頑丈に緊結しない日本の伝統建築構法を見直す機会かもしれない。
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