建築地:山口県周防大島
延面積:197.05u(59.5坪)

2008年12月竣工

設計:古川保・古川亮
  施工:久良工務店 棟梁:久良大作
   
 
 田舎から都会に働きに出て、故郷に戻らずそのまま都会に住みつづける人が多くなり、田舎の過疎化がすすんでいる。最近は、定年後故郷に戻りたいという中高年者が少しづつ増えてきた。そんな一例である。なぜ故郷に戻ろうと考えたのか聞いてみると、趣味が畑仕事であり、定年後は自給自足しながら暮らしたいと考えていたと。周防大島には両親が亡くなってから空家となった実家と、みかん畑がある。また歩いて行ける距離に海があり、魚もよく釣れる。これらを別の土地で揃えるとなると、相当な費用がかかるし、田中角栄の目白御殿よりも贅沢ではないかとの思いで、故郷に戻ることを決意したと。
 
 実家は築100年余の家であった。雨漏りがひどく、土壁にカビが生え、シロアリ被害もあった。まず、その家が再生可能かどうかを判断し、手当てを早急にしなければ、再生可能な家がゴミになってしまうと村田氏は考えた。雨漏りによる腐れや、シロアリ被害は軽微で、構造体はしっかりしていた。 二人で住むにはあまりに大きく減築することにした。

古民家は風通しを一番につくられていて、夏の不満はほとんどないが、問題は冬の寒さである。再生にあたり、土壁の外側にウールの断熱材を入れた。シロアリは土があればどこにでもいる。シロアリが付かないように薬剤を使うと人体にも被害がでてくる。床下は風通しを良くし、シロアリが家に上がって来にくいようにし、基礎はモルタルをかけず早期発見が可能とした。玄関土間は三和土にした。石灰と粘土を混ぜればコンクリートみたいに堅くなる。砕けば土に戻る。便利な材料である。紙と土と木の家は解体した後、何にも残らない。瓦は燃えないが、元は土なので用が済めば車庫の下に敷けば良い。