屋根裏に取り付けてあった棟札には「安政元年建立」と書かれていた。150年も前のことである。この家を今回再生することになった。
 この地域は昔からの町屋で隣家とは壁一枚でくっ付いている。南北に家が隣接するため、光と風は東西からしか入らない。つまり、南側には窓ひとつ取れないのである。しかし、運良く西側の道路はT字路になっていて、熊本特有の西風は道路沿いに流れてこの家に当たる。西側の家が西日も遮ってくれる。
 家の中に通り土間を作った。この土間に打ち水をし、上昇気流を発生させ上部のトップライトを開ければ空気が出て行く。出て行った分だけ空気が入ってくる。家の外は無風でも、家の中に風が発生する。
 人工エネルギーを使わない納涼方法は先人の知恵だ。現代の設計者はこのことを忘れ去ろうとしている。
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