木の家・古川設計室    
   
HOME>>住宅閑話(こんなものいらない)
   
   
− Site Menu −
  新築住宅
  民家再生
  商業施設

  住宅内覧会
  会社案内
  アクセス
  住宅閑話
  川尻六工匠

  リンク
  ブログ
  メール
−HOME−


雑誌「建築ジャーナル」に掲載されていました”古川保のこんなもの要らない”。 本当に「こんなものいる?いらない?」そしてこんなものはいったい「誰のため?」真剣に考えてみましょう。
その他の住宅閑話はこちらです
あたしの家のまこと  こんなもの欲しい  伝統構法万歳

 
1.品確法は貧・欠く法T
2.品確法は貧・欠く法U
3.品確法は貧・欠く法V
4.品確法は貧・欠く法W
5.オール電化は、ほんまにええんでんか?
6.アルミエコハウスはエゴハウスT
7.アルミエコハウスはエゴハウスU
8.産地が産物を輸入するT
9.産地が産物を輸入するU
10.珪藻土は化嘘土かも
11.FC住宅はビールの泡のごとし
12.建築基準法が山をつぶす
13.ハンバーガーとだんご汁
14.避難設備を非難する
15.ペットボトルハウスは日本の経済を活性化させる
16.OS(オープンシステム)、最後は建て主がSOS?
17.0はゼロではない話
18.換気扇メーカーは歓喜し、我は歓喜せん

19.禍苦忍死ん逝(確認申請)

20.樅の木はノコッタ、ノコッタ
21.IHヒーター寒話T
22.IHヒーター寒話U
23.民家は違反建築のお陰で存続してきた

24.へんなおじさん+なんでだろう 1

25.へんなおじさん+なんでだろう 2
26.商学部建築学科 1
27.商学部建築学科 2
28.金物パトリオット工法
29.UD(ユニバーサルデザイン)住宅とは誰も食わないファミレスのハンバーグみたいなもの
30.火災警報機に警報 1
31.火災警報機に警報 2
32.木材乾燥について観想した感想意見
33.石油と農薬が主成分の畳が最高ランクの健康天然建材とは
34.ものづくりはごみづくり。土は22世紀の建材なり。
35.笑うセールスマン
36.その後の換気戦
37.やっぱり木の風呂
38.新建材・洋風建築に手あつく、伝統建築に冷たい建築基準法1
39.新建材・洋風建築に手あつく、伝統建築に冷たい建築基準法2


   
   
 
1
 品確法は貧・欠く法T
 
住宅品質確保促進法(品確法)は「瑕疵担保責任10年保証」「住宅性能表示制度」「完成保証制度」の三法から成り立っている。「瑕疵担保責任10年保証」は、保証期間が今まで2年だったものが10年になるということなので大歓迎だ。問題は「住宅性能表示制度」である。 住宅性能表示制度は9項目から成り立っている。項目ごとに1〜5とランクがあり、数字が高いほど高性能となっている。その9項目について説明する。

 1,構造の安定に関すること
 9項目の中では、唯一まともに考えていい基準である。
 従来木造住宅は柱、梁、壁で地震や台風に対応している。強度が必要な地域では柱の根固めや柱を大きくし、梁の下に「ヒラモン」や「差しカモイ」を付ける。木材と相性の悪いクギや金物は使わない、非常に合理的な建築工法である。素人が見ても、柱や梁が大きければ強いというのはわかる。
 しかし「構造の安定に関すること」ではスジカイと金物だけが評価基準である。つまり、金物だらけの家が高性能で、柱や梁が大きいことは基準外となる。10年、20年と過ぎれば、釘や金物は錆びてくる。強度低下ははなはだしいはずである。
 本来、金物は木造の補強的な役割として、ほんの少し使うのが望ましく、木材部分が見えないくらい金物を多量に使った建物は、もはや木構造とは言えない。金物構造と言ったほうがよい。
 この金物構造工法は、新築時にはたしかに高性能の強度を発揮するだろうが、結露によるクギのサビ、木材の収縮による金物のゆるみなどを考えれば、耐久性は30年以上は期待できない。最近のマッチ棒みたいな材料でつくる一次取得者用の簡易住宅にのみ適合する。

  2.火災時の安全に関すること
 住宅の各部屋に火災感知器と警報器を設置したものが高ランクとなる。
 火災報知器は非常敏感でほこりやクモの巣によってすぐ感知しなくなる。そのため、1年に1度の専門業者による定期点検が必要になり、住宅の火災保険の数倍もの経費がかかる。
 性能表示のランク=2でよければ、火災報知器を台所に1個だけ設置すればよいが、台所でタバコを吸ったり、焼肉をしたりすると、そのたびに警報機が鳴ることになる。1個でも定期点検は必要である。たしか、あの大洋デパートの火災は整備不良で火災報知器が作動しなかった。
 家中に火災報知器を設置することがばかげているとは国会議員の先生にもわかりそうだが、国会審議はなぜかパス。
  住宅程度ならば、火災対策は逃げるが一番。ネズミでも知っている。

 
   
 
建築ジャーナル 2002年 1月号掲載
 
   
   
 
2
 品確法は貧・欠く法U
   
  前回に引き続き、品確法の「住宅性能表示制度」について。

  3,劣化の軽減に関すること
  家を長持ちさせるための条件は、細かく言えば100項目ぐらいあると思うが、基準はたったの8項目。
@外壁の防腐対策のために木材を薬漬けにするか、外壁通気工法にする。
A土台の防蟻のために薬剤処理を行う。
B脱衣室の壁は防水上有効なビニールシートなどの仕上げをする。
Cべた基礎、または土壌を防蟻薬剤処理する。
D基礎の高さは40p以上。
E床下の防湿・換気対策。
F小屋裏の換気対策。
G構造材は防腐防蟻薬剤処理をする。
  そして、この8項目を全部満たせば、「その住宅の寿命が90年あるということではなく、90年もつと考えられる仕様を満たしている」とある。頭のよい人にもそうでない人にも理解できない表現だ。さっそく、ランク3の性能表示住宅では「90年住宅」というコピーさえ見かける。
  家を長持ちさせるための条件が、@ACGのように薬漬けが基本になっている。木材は、まな板と同様に乾燥させることが一番だと、だれもが知ってるのに、その基準はない。またBの脱衣室にビニールクロスを貼ることを推奨するのはどう考えても理解できない○○ホームが外壁ベニヤ・内装ビニールクロスなのに100年住宅と語っている根拠には、この性能表示制度があるのかもしれない。
  基本的に、木造建築の長寿化は軒を長くして、木材が乾燥しやすい構造にしておくことが最善の方法である。

  4,維持管理への配慮に関すること
基礎に二重のサヤ管を埋め込み、その中に配水管や給水管を通し、さらに床下点検口をつけることになっている。サヤ管の工事費は給排水工事費と同じくらいお金がかかる。古い家の再生改修工事をする時、設備機器の進展、間取りの変更で、すべての家が給排水の配管はやり変えている。同じ場所に給水と排水がくることは99%ありえない。古い管はそのまま埋め込んで新しい管を別に付けるほうがコストは安い。
  メンテナンス上、便器の詰まりはほとんど便器直下の部分で起こる。もし詰まっていても、便器ははずして修理するので、まず掃除口の世話になることはない。そもそも掃除口とはパイプをコンクリートに埋めてしまう場合に行うことで、床下に潜れる木造住宅では設置しない。木造住宅を知らない人がつくった基準である。
  給水、給湯、排水、ガスのそれぞれに床下点検口を付ければ、台所・洗面所は蓋だらけ。鉄筋コンクリートの病院みたいになる。ドブにお金を捨てる基準である。
   
 
建築ジャーナル 2002年 2月号掲載
 
   
   
 
3
 品確法は貧・欠く法V
   
   さらに品確法「住宅性能表示制度」についてコメントしたい。

  5,温熱環境に関すること
  基準を見てみると、
@すべての部屋の内部にプラスチック系防湿フィルムを貼る。
A集成材などの乾燥木材を使う。
Bベニヤなどの防湿性、気密性の高い材料を使う。
C日射遮蔽の基準はレースカーテンやブラインドをつける。
D断熱材はグラスウールで60cm入れる。
  高気密・高断熱の潜水艦みたいな密閉住宅が基準なのだ。高気密・高断熱仕様には山ほど批判があるので今回は省略する。

  6,空気環境に関すること
  ランク1から4まである。JIS企画EOベニヤを使えば、最高ランクの4である。ほとんどの住宅会社はEOベニヤを使っているので優良健康住宅となる。『建築ジャーナル』によると健康被害裁判事例が一番多い○○ホームもランク4である。ワンランク下の3は、シックハウス症候群という言葉さえ耳にしたことのない大工さんが、建材店の在庫処分のために買わされたベニヤを使って建てた家ぐらいだろう。無垢材にはこの基準がないのでランク外である。
  では、はたしてEOベニヤを使用するだけで、ホルムアルデヒド濃度が厚生労働省基準値の0.08ppm以下になるのであろうか。建材単品の数値が基準値以下でも、天井材、壁材、床材を全部新建材にしたならば、全体では基準値をオーバーする。残留農薬基準値以下の野菜、残留農薬基準値以下のみそは安全であると言っているのと同じ。2001年からホルムアルデヒド濃度測定が別途費用で追加になったが、換気扇を回して、夏は涼しい午前中にワックスをかける前の状態で実施してもよいことになっている。ザル法よりもっと目の粗いモチ焼きアミ法である。
  汚染濃度基準値以下を「健康」住宅というのはおかしい。卒業基準ギリギリの成績だった私は「優秀」学生だったのだろうか。

  7,光・視環境に関すること
  構造上、省エネルギー上は窓は小さい方が有利である。しかし、住む立場からすれば窓は大きい方がいいに決まっている。住んだときの気持ちの良さを評価するのかと思ったら、そのランク付けはない。居室の面積に対する開口の面積の割合といっても、評価が高いか低いかわからない。あってもなくてもどうでもよい盲腸みたいな項目だ。
   
 
建築ジャーナル 2002年 3月号掲載
 
   
   
 
4
 品確法は貧・欠く法W
   
  品確法の「住宅性能表示制度」の残り2項目についてのコメントとまとめを述べる。

  8,音環境に関すること
  希望する人だけが性能評価を受ける選択項目である。この性能項目はあってもよい。住宅はそもそも置かれた環境で性能評価はなされるべきで、高速道路の近くだったら音遮断をしなければならないし、閑静な住宅地だったら小鳥の鳴き声ぐらいは聞きたい。遮音性能を評価の対象とするのは理解できる。

  9,高齢者への配慮に関すること
  高齢者や障害者はそれぞれ、人によって障害のあり方がまったく違う。統一基準は不可能に近い。千人分の基準は千通りである。
  しかし、基準によるとあらゆる所にに手すりを付け、通路幅は80p以上、トイレは介護スペースが必要となっている。もはや住宅ではない。施設である。病院のような家が高性能住宅だろうか。
  ある設計者が、障害者に合わせて「ハイハイの家」を設計した。どこにでも這っていけるよう配慮した家だ。手すりはなく、車いすのことも考えられていないが住む人にとっては最高の家。なのに、性能評価は落第点になる。
  高齢者や障害者への配慮住宅は非常に個別な設計である。わずか4,5項目の基準を満たせば高性能という基準は、あまりにもつくり手側寄りである。

  住宅は環境・家族構成・住み手の好みにより、要素がすべて違う。性能表示そのものが迷惑な話だ。素人も玄人も絶賛する吉村順三の設計した住宅は、「住宅性能表示」のランクでは最低基準以下になり、日本最大の簡単住宅アイフルホームはランク3かランク4の高性能住宅になる。食べ物に例えれば、おふくろの料理とホテルの料理と病院の料理を比べたとき、病院の料理が良いというのが性能表示だ。
  このような品確法がスタートして約1年が経過したが、注文住宅での採用は 5%に過ぎない。政府は当初50%をめざしており、あまりの少なさに2002年も数億円の税金を使い、建築士事務所協会を中心に推奨活動に入る。
  制度が普及しないのは内容が幼稚だからであり、決して一般に内容が浸透していないということではない。だが、政府は次なる手を打ってきた。住宅金融金庫の廃止に伴い、新たなる制度と減税を「住宅性能表示制度」にからめる予定である。そうなると状況ががらりと変わってくる。融資を受けるためには住宅性能表示を採用せざるを得なくなる。性能表示ランクにより金利が変わるとなると、建て主が高いランクを要求するのは必然となる。これから住宅性能表示があるがゆえに、日本の住宅のバラック化に拍車がかかるであろう。
   
 
建築ジャーナル 2002年 4月号掲載
 
   
   
 
5
 オール電化は、ほんまにええんでんか?
   
    ドイツ、スウェーデンに続いてベルギーも脱原子力発電の旗を揚げた。
  原子力発電は、石油や石炭と比較すると炭酸ガスの発生は少なく、京都議定書を守るためには原子力発電所(以下原発)は不可欠と日本政府は言う。EU諸国の「脱原子力発電」は、核アレルギーや放射能の危険性を危惧してのことではない。原発の建設と解体に莫大なコストがかかるという理由からである。原発を解体するには900億円の費用がかかる。日本は、原発の解体費用は無視して、建設時のコストしか電力原価に算入せずして、原発がいちばん安いと国民に説明している。帰りの切符を持たずして旅行に行くのと同じ行為である。そして原発推進の日本は、あと13基の建設を計画している。日本の人口は減っているのにどうして増設が必要なのだろうか。

  最近の新聞チラシを見てみると、オール電化の記事が多くなった。マンションブームで、ほとんどの台所はクッキングヒーター、風呂は電気温水器である。電力会社は「比べて選べば電気温水器がいちばん安い」と宣伝する。電気代を灯油やガスと比べて有利になるような非現実的な条件設定のもとでデータづくりをしている。クッキングヒーターの電磁波の安全性については、放射線防護委員会のガイドラインである60ミリガウスを引用して、クッキングヒーターから発生する電磁波は40ミリガウスなので安全であると宣言している。欧米諸国は妊婦や子どもの発達細胞に影響を及ぼす2ミリガウスを問題にしているのに、認識の温度差は甚だしい。

  また、クッキングヒーターは炎が出ないので住宅の火災に対する安全性を訴えているが、片方で電線の先の原発の近くに住んでいる人の危険性は無視する。
  日本政府は、京都議定書の批准について、国民が便利さの飽くなき追求をしても原発13基増設すれば6%の炭酸ガス削減は可能と考えている。電力会社は、新幹線の5倍もの電力が必要になる。リニアモーターカーの開発に協力し、オール電化住宅推進の事務局になってお金と消費者説得のノウハウを提供している。片方で、大林宣彦が「電気は限りある資源です。大切に使いましょう」と言う電力会社の広告は空々しい。

  電気というものは生活必需品なので、最低使用分までは安く、それ以上使えば使うほど高くなる仕組みになっているが、オール電化にしてたくさん使えば割引きになる制度がある。どう考えてもおかしい。
  もうそろそろ京都議定書の批准のために、原発の13基増設の話が族議員からでるだろう。
  私たち建築家は、オール電化推進の片棒を担ぐのではなく、EU諸国のように電気を少なく使う家づくりをめざすべきではないだろうか 。

   
 
建築ジャーナル 2002年 5月号掲載
 
   
   
 
6
 アルミエコハウスはエゴハウスT
   
    地球温暖化防止の世界的取り組みの基準として京都議定書がある。炭酸ガス発生を、1990年の発生量と比較して、2012年までに6%減らそうという計画である。日本の地名がついているのに、日本では、政府も国民も業界も、あまり動きが見られない。むしろ日本の炭酸ガス発生量は逆に増え続けている。2000年の発生量と比較したら、目標を達成するには、10%以上の発生量を削減しなければならない。
  炭酸ガス発生が多いのは、自動車業界と建設業界である。自動車業界は天然ガスや電気を利用した車の開発を計画しているが、建設業界には何らかの削減計画の兆しはまったくない。相も変わらず大量生産・大量消費・大量廃棄を続けている。

  しかしそのなかで、一見注意をひくものがある。アルミ住宅である。経済産業省外郭団体であるNEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)が数億円のお金を費やしてその研究をしている。「アルミ缶のリサイクル率は80%を超えているので、アルミニウムはエコロジカルな材料だ」というアルミ業界の口車に乗せられての開発だ。
  アルミ缶はふたまでアルミなのでリサイクルは可能だが、はたしてアルミ住宅もリサイクルができるのか。「分ければ資源・混ぜればゴミ」ということをNEDOが知らないはずはない。アルミニウム=アルミ缶=リサイクルと短絡的に思ってるのではないだろうか。

  アルミ住宅の開発趣旨は、「アルミニウムが建築材料として使われ始めて約100年になる。アルミニウムの歴史はそのまま近代建築の歴史といってもよい。しかしその中でアルミニウムがたどった道は挫折の歴史だった。鉄、コンクリート、ガラスが近代建築の主流を歩んできたとすれば、アルミニウムは近代建築になくてはならない材料でありながら、つねに脇役に甘んじてきた。アルミニウムは飛行機、船舶、列車、自動車などにも大々的に使用されるようになり、居住環境に必要な性能を達成できるレベルにまで技術は成熟してきた。」ということらしい。

  本来、住宅は木構造である。しかし、都市への集中化がすすみ、密集建築のため耐火性能が要求されれば、木構造より鉄筋コンクリート造の方が便利になる。また、土地が狭くペンシル的な建物だと、鉄骨造が有利になる、という理由からある。
  しかし、アルミ構造には必然性がまったくない。アルミ業界が、アルミサッシだけでなく住宅本体分野に入り込み、受注拡大をねらっていることは見え見えである。
   
 
建築ジャーナル 2002年 7月号掲載
 
 
7
 アルミエコハウスはエゴハウスU
   
    アルミニウムは生産時に膨大な電気エネルギーが必要だ。柱・梁など強度が必要な構造部分にはリサイクルアルミは不純物が多くて使えない。バージンアルミが必要だ。日本の入浴方法は何人も入って経済的というが、一番風呂の人にはそのような発言の権利はない。

  また、アルミは熱を非常に伝えやすく、結露の発生率が高いので、遮熱と結露防止の装置が必要になる。そのため、フロンガスが発生するのでいちばん嫌われているウレタンフォームやプラスチックがアルミの間にくっつけてある。柱と梁の接合には数多くの鉄製ハイテンションボルトが使われている。床板の遮音対策は防振ゴム。遮熱と結露防止のために、微に入り細に入りの複合大設計には頭が下がる。
  これだけのアルミ複合住宅の分別解体は可能だろうか。もし分別解体が金勘定に合うのであれば、鉄を構造体にした積水ハウスや大和ハウスは、40年以上もの歴史があるのだから、とっくの昔に鉄のリサイクル住宅をやっている。しかし、容易に分離できないのは構造複合体が複雑だからだ。

  (社)日本アルミ二ウム協会は、アルミ住宅を「アルミエコハウス」と命名し、「アルミは耐食性が高いため住宅の長寿命化が図れ、解体後はリサイクルできる。環境の時代にふさわしい」。また、「10年以内に全住宅の10%程度のシェアをめざし、普及版の坪単価は70万〜80万円くらい」と言っている。
  最近のパタパタ式リカちゃん人形みたいな姿で、坪単価70万〜80万もするアルミ住宅は、関係者以外絶対買わないだろう。環境をくいものにしての(社)日本アルミ二ウム協会の住宅業界の参入に、どうして数億円の税金を使うのだろうか。生産時に莫大なエネルギーが必要で、リサイクルにも膨大なエネルギーがいる(広辞苑によると膨大より莫大の方が大きい)。アルミ住宅は、(社)日本アルミ二ウム協会の民間の資金で勝手にやればよいではないか。  

  木造住宅の生産エネルギーは鉄筋コンクリート造の3分の1、鉄骨造の2分の1しか必要としないし、リサイクルも簡単である。解体時、木と土と紙が基本であれば、燃やしてしまえば何も残らない(木材は空中の炭酸ガスと水が原料である。役目が終わって燃やしたら、炭酸ガスがまた空中に戻るのは仕方ないことと理解している。EU<ヨーロッパ連合>が森林を炭酸ガス減少に加えない理由でもある)。不燃物がゼロに等しい日本の伝統木造こそ「エコハウス」そのものである。アルミ住宅はアルミ業界の「エゴハウス」である。
   
 
建築ジャーナル 2002年 8月号掲載
 
   
   
 
8
 産地が産物を輸入するT
   
    最近、北欧からの輸入木材が急増している。逆にラワンなどの東南アジアからの木材が減っている。森林伐採による東南アジアの環境破壊は日本の総合商社が原因と世界から批判を浴びて、東南アジアの木材は切ってはならないと反省したからではない。切り出しやすい木は切ってしまって、現存する木は搬出にコストがかかるという理由からだ。
 
  今度は、日本の総合商社はロシア、北欧に目を向けている。200年生の木は色白で日本人好みで人気が高く、売れると読んでいる。  ロシア、北欧の森林伐採より深刻な環境破壊である。タイガ気候の森林は凍土に覆われていて雨が砂漠みたいに年間200oしか降らない。だが森林が凍土をカバーしているので蒸発せず森林は保全されている。しかし、この森林を一度伐採すれば凍土が溶けて砂漠になり、森林は二度と戻らないと環境専門家は警告。しかし、外貨を稼ぎたいロシアは木材を輸出したいし、貿易黒字に悩む日本政府は外国の木材輸入を推進するし、売りたい人と欲しい人が売買して何が悪いというのが世界に類のない日本の総合商社の考え方である。  

  そして、日本の住宅業界はその上にどっぷり乗っかっている。  
  日本は高温多湿地方のため、木材は腐りやすいので杉、檜はタンニン成分をたっぷり含み、ヒノキチオールなどの防腐成分を発散させ虫を寄せつけない。人間はそれを木の香りと言って重宝がるが、人間のためではなく木自らのために存在するのだ。低温少湿地方の北欧の木材は、自己防衛対策の必要がないので防腐対策の成分は含まれていない。総合商社は色白で素直な木と絶賛し、日本に売り込みをかける。日本にもってくればシロアリの餌食になるので、建築基準法の元締め・国土交通省は、財産の保護を理由に木材に科学防腐剤注入を勧める。(品確法)  みかしから、杉・檜の防腐殺菌効果は生活の中で活用されていた。魚のとろ箱の下に檜の葉を敷いたり、杉坂をはいでおにぎりを包んだり、弁当箱に南天の葉を入れたりしていた。今、その自然効能はすっかり忘れられてしまっている。  

  数年前から、シックハウス症候群が話題になり、その原因は新築材の接着剤であるとのことであった。そのため、外材・新建材が敬遠され、国産材の需要が増える兆しが見え、山林業者が潤うかのように思えた。しかし、シックハウス症候群の原因をつくったはずの住宅メーカーは、ホルムアルデビドを使用していない接着剤に切り替えただけで、相も変わらず外材主体の家づくりである。国産材の出る幕はなかった。
   
 
建築ジャーナル 2002年 9月号掲載
 
   
   
 
9
 産地が産物を輸入するU
   
    びっくり仰天するのは、住宅メーカーが手のひらを返したように、ホルムアルデヒド含有以外の接着剤を使った外材のベニヤを使用して、「健康住宅」として売り出していることである。外材に含まれている化学物質は、国家間の問題に発展するので、政府もあまり調査はしない。最近、輸入野菜については、狂牛病の二の舞にならないように残留農薬を発表しだしたが、外材はまだ当分は無理であろう。シックハウス症候群は国産材の需要拡大のせっかくのチャンスだったのに、結果は国産材の敗北に終わった。  
  でも、もう一回チャンスがくる。京都議定書批准だ。森林の若い針葉樹がCO2吸収に役立ってることを見直そうとしている。  

  日本は、温暖で雨が多く木の成長には条件が良いため、木材が良く育ち、60年で建築用材になる。 その木を使って、耐久性60年の木造住宅を消費する。これは、森林と人とが共生関係を持つ日本の昔からの仕組みである。山の保水の面から考えると、杉・檜ではない広葉樹の方が良いと言われている。広葉樹は生産性が悪く、民間の林業者での経営では限界がある。広葉樹は、用地買収不要の自然のダム建設費と考えて税金で育て、杉・檜の針葉樹は林業者が育てて、木造住宅で消費するという、民間のシステムでまかなうほうがよい。  
  熊本・大分・宮崎は、とくに杉・檜の出荷量が多い。山林は、地球上のCO2の20%を炭酸同化作用で酸素にしている。日本の地で酸素を吸っている人は日本の山林を保全する義務がある。自分でできなければ山林業者に委任しなければならない。山林業者が行っている山の維持管理・保全を経済的に支援すればよい。つまり、住宅新築時、日本の木を買えばよいのだ。しかし、山林業者は、木が売れずに困りはて瀕死の状態である。価格は家1軒10万程度しか差がないのに住宅に使われる木材の80%は輸入され、国産材は20%である。どうしても北欧の木を使いたい人は北欧の酸素をつめたボンベで生活をしてほしい。  

  日本人は舶来品に弱い・200年そこそこの歴史しかない低湿気候の米国の金物工法は素敵で地震に強く、夢の家と絶賛する。専門的に見て、日本の伝統建築工法は、1300年の歴史を持ち、開放的で木材の性質を知りつくし、湿気対策を十分に考えた世界最高峰の工法であるのに。  
  シックハウス症候群の問題や、家の長持ち対策、環境問題などを総合的に見て、日本の土地には日本の木材を使った住宅を建てるべきである。日本には切らなければならない木が山ほどあるのに、切ってはならない木を、地球の反対側から重油をたいて輸入するのはどう考えてもおかしい。  
  ブラジルがコーヒーを、フランスがワインを輸入しているのと同じである。
   
 
建築ジャーナル 2002年 10月号掲載
 
   
   
 
10
 珪藻土は化嘘土かも
   
   珪藻土壁材は、昔サメジマコーポレーションという会社が細々と生産販売してきた。5年前には、建築関係者でさえほとんどの人が知らなかった。今は違う。左官材料メーカーだけでなく、塗料メーカーもこぞって「ケイソウド、ケイソウド」の大合唱。広告によって一般の人の認知度も高まった。パタパタ住宅メーカーもプレハブ住宅メーカーも猫も杓子も珪藻土と名の付く商品を使うようになった。
 
  珪藻土とは、植物性プランクトンの死がいが化石化したもので、小さな穴をたくさん持つ構造になっている。それで、ホルムアルデビドや有害物質や水蒸気などを吸着する。その特性のため、消臭・吸湿材として急速に広まった。
  主成分は珪酸質で、700度で焼いた物が七輪、1.000度で焼いた物は、ビールのろ過材として使用されている。土を1.000度で焼けば、焼き物になり吸着効果はなくなる。しかし、1.000度で焼いた珪藻土は、白くいろいろな着色ができ、見かけは建材としてすばらしい。珪藻土を吸着目的で使うのであれば、焼成温度は低いほうが良い。焼成温度を教えないメーカーや、色見本が豊富なメーカーの珪藻土は焼成温度が1.000度を超えており吸湿効果のない商品と思ってよい。
 
  珪藻土はそれ自体では壁に塗れない。しょせん、土なのでパサパサしている。どうしても「つなぎ」が必要となる。「つなぎ」に、「つのまた」などの自然素材を使えばよいが、ほとんどはセメントや化学接着剤が使われる。化学接着剤を配合すると珪藻土の多孔質構造の孔がふさがれるため、吸湿性の機能は低下する。建材メーカーから発売されている珪藻土にどれくらい化学接着剤が含まれているかが問題である。「つなぎ」に自然素材とだけ表示してあるものは疑わしい。漆喰を「つなぎ」と表示している珪藻土は良い材料と言える。
  簡単なまがい物の見分け方は、@塗料メーカーの商品、A薄塗りの商品、B施工が簡単、C色が豊富な商品である。  

  珪藻土そのものにはたしかに吸湿性はある。表面の空気中の湿気を吸うだけではなく、裏側の下地の灰汁まで吸収する。だから下地シーラーが裏側の下地の吸湿効果まで止めてしまう。わずか3o程度の薄塗り珪藻土は吸湿効果を期待しないほうがよい。たとえば、テーブルにバケツの水をこぼしたとする。あなたは近くにある吸湿性の高いティッシュペーパーと雑巾のどちらを選ぶか。お金持ちだったらティッシュペーパーを箱ごと使って拭き取るだろうが、普通は雑巾を使う。薄塗り珪藻土は紙クロスと同程度の調湿効果と思ったほうがよい。世の中には珪藻土クロスまであるのだから。  

  同じ金額で、調湿効果を期待するのであれば、漆喰を使ったほうが有利である。最近の珪藻土ブームはいったい何なのだろう。
   
 
建築ジャーナル 2002年 11月号掲載
 
   
   
 
11
 FC住宅はビールの泡のごとし
   
    最近建築の業界紙には、もうけ話が多い。フランチャイズ(FC)方式の本部住宅会社が急増し、加盟店への加入募集の記事である。住宅の良さを直接、客に訴えるではなく、住宅会社に対して「楽してもうかる話」のアピールだ。営業力のない工務店や仕事のない大工を対象としている。多重債務者にサラ金業者がアピールしているのに似ている。
 
  そのなかの一つを紹介しよう。ISO9001を獲得し、木造合理化システムの認定を受けているので、国のお墨付きをもらい信用度は高い。加盟店は、ITを活用した情報管理システムで、顧客情報、原価情報、アフター情報を一元する。本部作成の統一マニュアルにより接客・施工・管理を行い、料金も統一体系となり、工事の見積もりや施工基準、保証内容などこれらの一連のサポートによって利益30%が確保できるとのこと。フランチャイズの加盟金は50万円。保証金は100万円。ロイヤリティは売り上げの5%を本部に納めなけらばならない。このほかに、広報分担金やオープンツール(カタログやちらし)の隣人費用が別途必要である。  
  お布施の多い宗教団体と同じである。もはや請負業ではない。人の弱みにつけ込んだ詐欺寸前の悪徳商法に近い。加盟店は本部の餌食になり、客は安物をつかまされる。国土交通省が勧めている品確法などを受けて、耐久性は75年と自賛している。75年耐久はすごい話である。この前老朽化を理由に建て替えられた丸の内ビルと同じというのは冗談もはなはだしいと思うのだが、その根拠は品確法にある。
 
  4mの梁を精一杯使い8×8の総二階の建物にして、軒は切り取り、シチュー鍋みたいな醜い寸胴姿。基礎および柱は真ん中に1本しか建てない。すべて開きドアにして、その材料は東南アジアから輸入した安かろう悪かろうの商品だ。壁天井の材料は台所も、洗面所も、寝室も子供部屋も、押し入れ、全部同じで石膏ボード下地のビニールクロス貼り。納戸と座敷の区別はつかない。窓は座敷であろうと1間サイズのアルミサッシ。設備機器は特売の厨房セット。屋外の給排水工事を別途にすれば坪単価30万円ぐらいには簡単になる。商品価値の高いのもを合理化によって安く提供するものではない。安物をただ安く売ろうとしているだけのことなのだ。本部は1軒あたり500万円も粗利がとれると言うものの自分は決して手をださない。やけどすることを一番知っている張本人なのだ。日本人が坪当たり単価を価格基準におくがゆえの落とし穴だ。

 そもそも客と住宅会社との間にもう一つ会社が入って物が安くなるはずがないではないか。フランチャイズ方式のコンビニがあれだけ多量に商品を仕入れているが、ちっとも安くないではないか。そしてコンビニの経営者はもうからないと嘆いている。今現在フランチャイズ方式の本部はタケノコのように出現し、3年前にあったフランチャイズ方式の本部は今はない。
   
 
建築ジャーナル 2002年 12月号掲載
 
   
   
 
12
 建築基準法が山をつぶす
   
   建築基準法が大幅に改正された。改正の解説書は600ページにも及ぶ。その中の一項目が日本の山を駄目にする。防火地域、22条地域に建つ建物は、家の内装の壁を次のようにしなければならないという項目が新たに加わったからだ。その悪徳(告示)平12建告1362号について述べる。  

  厚さ905mm以上の石膏ボードを貼るか、または厚さ75mm以上のグラスウールもしくはロックウールを充填したうえに、厚さ4mm以上の合板を貼ったものとなっている。  
 
  防火地域、準防火地域については、家が密集しているので、ある程度の規制もやむを得ないと理解できる。問題は、22条地域内である。22条地域とは、火の粉がかかる程度を防御できる程度のやわらかい規制で、日本のほぼ全域がこの地域である(軒裏は木のむき出しでもよい)。外壁も3.2mmの石綿スレート程度となっている。発癌性物質で問題となり、業者さえ自粛している石綿スレートが、国から推奨品としていきなり出てくる。健康の問題は厚生労働省の問題で、国土交通省はかかわり知らぬこと。火の粉がかかる程度のやわらかい防火性能でよい地域に家の内装にまでどうして防火性能を要求するのか。家の内部の防火性能は内装制限という建築基準法で昔から規定されている。今度の法律は押し入れ、納戸、浴室、物置など火を使用しない部屋といえども防火材を使わなければならない。木の板が使えない法律だ。  

  壁の中に75mmのグラスウールを入れれば木材使用は可能だと言う人がいるが、市販のグラスウールは50mmの次は100 mmだ。新壁4寸角の柱間に100mmのものは物理的に入らない。グラスウールやロックウールは壁の中で結露を起こしやすくカビ発生の原因になっている。最近では、カビ,ダニ防止のために、吸湿性のあるセルロースファイバーやセルロースウールなどを、断熱材として健康面から専門家は勧める。将来の産業廃棄物のことを考えると、地下に埋めるしか仕方のないグラスウールやロックウールや石膏ボードより、燃やせば煙になってしまうセルロースウールや板材のほうが良いに決まっているのに。  

  現実、法律を守って家を建てようと思えば、石膏ボードしか使えないのだ。木の板はほぼ使えない。杉や桧の国産材は売れなくて困っている。建て主が希望するのは、隠れた柱や梁ではない、見える木部なのだ。日本人は木が好きなのに、内装にはほとんど木の板が使えない。真壁と相性が良い杉・桧などの国産材は現在18%のシェアであるが、これからはおそらく10%を切るだろう。このことを政治家先生に相談したがそんなばかなことを国がするはずがないとかかわってくれない。林業関係者の自殺者は増え、山は荒れはて、平地は建築不燃廃材の山ができる。その山に木が生えるころ、昔の山の木の大切さがわかるだろう。
   
 
建築ジャーナル 2003年 1月号掲載
 
   
   
 
13
 ハンバーガーとだんご汁
   
   2002年の全国高額所得者の2、3、4位は、マクドナルドハンバーガーの人たちだった。吉兆や大和屋の旦那だったら、うらやましくても理解はできる。しかし、アメリカの飲食関係者が、サラ金業界を抜いてトップであるのは不思議だ。最近の野菜は、青くさくないとか、季節感がないとか文句を言いつつ、年中存在するトマトやレタスの入ったハンバーガーはよく売れる。  

  農産物業界も建設業界に負けじと、BSE問題。不当表示問題、農薬問題とにぎやかである。その火消しの役目として「地産地消」が登場した。地域の食材は、地域で消費しようという地産地消の言葉は、大企業も、個人農家も、行政も、民間も区別なく使われ、新聞に「地産地消」の記事がない日はない。そのうち、地産地消を売り物にした農産物を農協が扱い、ITでネットワーク化し、オールシーズンで、全国制覇しそうな気がしてならない。  

  昔、ユニクロの柳井前社長が言っていた。「日本の商品は異常に高い。消費者は文句を言うべきだ」「世界中の産地と契約して信頼できるものを大量に売ればいよい。」と。5年後ユニクロは赤字企業の仲間入りをした。そして今、世界一高い日本のトマトを売っている。不思議な話だ。  

  スローフード運動というものがある。ファーストフードと対立して、ゆっくり食べようというだけではない。スローフード運動の精神には5つの宣言がある。1つ、私たちは郷土の食材を守ります。2つ、私たちは伝統の調理の技を守ります。3つ、私たちは楽しい食べ方の伝承と創造に努めます。4つ、私たちは優れた食材をつくる生産者を応援します。5つ、私たちは次世代への食の教育に努めます。  

  5項目の内容で、食材を木材に変え、食べ方を建て方に変え、調理を大工工事に変えたら、国産材推進派の「緑の列島ネットワーク」と同じ方向ではないか。このことは、不思議ではない。住と食は、国と業界が寄ってたかって、消費者を食い物にしているという共通点があるからだ。  

  先日、だんご汁専門の飲食店の設計をした。保健所の内部基準で厨房は「天井は埃やゴミが落下しないように平滑で隙間がなく、掃除しやすい構造であること。床は不浸透性の材料で造られていること」となっていた。このだんご汁屋を開店する前に保健所の検査を受けた。内装はすべて不適合。天井の梁剥き出しは駄目。床の絵板も駄目。保健所の行政指導のもと、天井にベニヤを張り、床は塩化ビニール、壁はビニールクロスを貼った。無事検査は合格した。厚生労働省は不思議なところだ。片方で自然素材を薦め、もう片方で新建材を薦める。もちろん、検査後すべてを剥ぎ落としたことは言うまでもない。
   
 
建築ジャーナル 2003年 6月号掲載
 
   
   
 
14
 避難設備を非難する
   
    誘導灯 例1:非常灯は建築基準法で、誘導灯・避難口灯は消防法である。目的にあまり差はない。照明器具のカタログも非常灯・誘導灯・避難口灯は同じ欄に載っているし、取り付け工事も同じ電気工事店が施工する。目的が同じなので消防行政か建築行政かどちらかにしてほしい。申請も検査も二重の手間だ。  

  大型の映画館や、地下の映画館はたしかに80wの大型誘導灯は設置してあるが、ほとんど電源は切ってある。切ってあるから映画が見られる。法律をつくった人は映画を見たことがないのだろうか。
例2:間口6m奥行き3mの菓子店を設計した。出入り口は2ヵ所ある。入って2歩も歩けばショーケースにたどりつく。出るのも2歩だ。こんな狭い場所に避難口灯を2ヵ所付けろという行政指導を受けた。私は立場上2個の避難口灯をつけた。検査後、建て主は勝手に避難口灯を外したが、外すなと文句を言うほうがおかしいと思う。

  排煙窓 建築の専門家にいちばん馬鹿げている基準法は、と問えば、口を揃えて排煙窓と答える。火事のとき、むずかしそうな排煙窓の操作を誰がするのかということだ。操作方法がわかる火元責任者が来るまで待ってからなら操作は可能だ。それより、1.8mより上の窓を排煙上有効にして、いっぱい窓を取ったほうが良いと思うのだが。

  消火器 ホームセンターで10号の消火器は5.000円程度で買える。消防の検査を専門家に頼むと6万円もかかる。ホームセンターのでは駄目らしい。消火器の効能証明がないのが理由だ。電気だったら点灯検査もできようが、消火器は検査ができない。ホームセンターから2個買ってきて、1個を消防にやるから検査してくれと言ったら、消防は検査機関ではないのでできないとのことだった。検査係員は検査のために来ているのに。

  火災報知器 ビルや公共建築の火災報知器の設置は理解できる。熱感知器や煙感知器は敏感で、ホコリやクモの巣で感知しなくなる。20年前、100名以上の死者を出した熊本の大洋デパートの火災、感知器は作動しなかった。かなり敏感なので年1回のメンテナンスは絶対必要だ。一戸建ての住宅に取り付けた場合、はたして年1回の専門家による維持点検をするだろうか。台所に1個しか付けない場合は、設置費より点検費のほうが高くつく。品確法では、各部屋に感知器を付けて、各部屋に警報器を設置すれば、火災に対して最高に安全な家らしい。思うに、はき出し窓がたくさんあり、総2階でもベランダや庇があるほうが、安全と思うのだが、関係ないらしい。高ランクの品確法・火災報知器設置基準は低レベルの住宅設計基準だ。

  内装制限 内袋に不燃材を使いなさいという基準がある。これらの建材は、タイルと石以外はほとんど石油製品である。コンクリートのビルが火災のとき、真っ黒の煙を出すのをご存知だろう。不燃材であるはずのビニールクロスが燃えているのだ。煙はダイオキシンや、青酸ガスや、一酸化炭素ガスなどである。新宿歌舞伎町の火災で被害者は1分以内にガス中毒死との報告だった。木造の家の焼死と、不燃建築のガス中毒死と、どちらが安全だと思いますか?!  

  私の設計する家は燃えるばかりで、不燃建築の「実践住宅」に核当するものがありませんのでお休みします。
   
 
建築ジャーナル 2003年 3月号掲載
 
   
   
 
15
 ペットボトルハウスは日本の経済を活性化させる
   
    世界地図を見て、熊本の緯度をなぞってみると、びっくりする。パリかせめてローマぐらいかと思っていたら、今話題のバクダットと同緯度である。日本は縦の長さでは決して小さい国ではない。南北の長さではアメリカにおいてニューヨークとマイミアでは緯度の差があり、気候風土や文化が違うので、法律も違うと認識している。しかし、日本においては北海道と熊本の緯度の差はニューヨークとマイアミの緯度の差とあまり変わらないのに、同じ法律が適用される。  

  九州といえど、冬寒い。北海道での暖かい家を九州にもってくればもっと暖かいと言う理屈で、高気密高断仕様の家が九州に上陸した。バクダットやマイアミには高気密高断仕様の家があるはずがないのだが、熊本には高気密高断熱の家が増えている。コマーシャルでは、暖房費が年間36万も安くなるとのことである。熊本では、年間暖房費用は大体3万円である。3万円しか使っていないのにどうして36万円もコストダウンになるのか、小学生でも理解できるのに、大人は騙される。気密化して、家の中に人が住めば、高温多湿地方の熊本では、結露現像が甚だしい。次世代エネルギー基準では壁のなかの結露防止のために室内側に防湿シートを貼りめぐらさなければならない。ガス自殺をする人が窓のまわりをガムテープなどで目張りするのと同じ原理である。さらに、結露の敵である湿気を下げるために、乾燥力の強いエアコンでの暖房を勧める。ストーブにヤカンを乗せるのは、絶対だめらしい。病院の先生は風邪予防のために、ストーブにヤカンを乗せるのを勧める。健康も大事、家も大事な人は、どちらの意見を聞いたらよいか迷ってしまう。  

  そもそも、西洋的なものには必ず副作用がともなう。高気密高断熱仕様の副作用がシックハウス症候群だ。 副作用には次の対症療法がなされる。シックハウス症候群対策で、7月から基本的に住宅のすべてに24時間換気扇の設置を義務づける法律が実行される。事務所やホテルの換気設計と違い、住宅の換気設計は非常に難しい。一つのシステム換気扇で大きい部屋も小さな部屋もまんべんなく換気させるのは、不可能に近い。換気回数0.5回以上/時間という基準を、真面目に守ろうと思えば、換気むらがあるので、必要換気量3〜4倍の換気が必要となる。そうしたら、換気扇の吸引力で密閉住宅の床下の防蟻剤まで吸引してしまう。国は、その対策のために、防蟻剤である有機リン系クロルホスピスを同時に7月より禁止する計画だ。では許可されているプレスロイド系の防蟻剤は人間に害がないだろうか。ただ被害の科学的証明ができていないだけだ。

  防蟻剤の歴史を見てみるとわかる。70年代はDDTだった。発売禁止になった。つぎに80年代にクロルデンが出現した。あまりの猛毒で使用禁止になった。80年後半に有機リン系クロルホスピスが使われるようになった。別名サリンがあまりにも有名になって、これまた禁止になった。今はプレスロイド系の薬剤だ。つねに薬の毒性が証明されるのに5〜10年という歳月が費やされている。しかし、考えるとおかしいものだ。虫を殺す目的で使用しているのに、その毒性が証明されると発売禁止になる。  

  ペットボトルの家は使う人は望まなかったのに、つくる住宅業者が望んで押し売りをして、そのつけは使う人にめぐる。常に、対症療法の工事が幾重も発生し、建築業界は新製品・新工法の開発で忙しい。なんだ、冷え切っている建築経済を活性化させる陰謀だったのか。
   
 
建築ジャーナル 2003年 4月号掲載
 
   
   
 
16
 OS(オープンシステム)、最後は建て主がSOS?
   
   OS(オープンシステム)という建築のシステムがある。OSを書いた本がベストセラーにもなった。施工管理を設計者が担い、建て主と専門業者が直接契約を結ぶ分離発注方式をとる。施工管理の現場監督には設計にたずさわる建築士があたる。  

  3社ぐらいの工務店から見積りを取って一番安い業者と契約するのが一般的だが、20項目ある専門工事の安い項目だけ縫っていけば安くなるとだれもが思った経験があると思う。それを実行したのは凄い。しかし、落とし穴がある。OS事業部の言い分を分析してみる。

@「住宅メーカーは40%の粗利をとるので2割は安くなる」  
住宅メーカーは40%の粗利があるのは、バブルのとき、一部であって今はそれほどない。問題は工務店十設計事務所と比較すべきである。OSの報酬が20%、工務店の粗利は15%程度、設計管理費が工事の10%とすれば、OSが安いのは5%である。5%のために、現場監督を慣れない建築士に委ねることになる。

A「安い専門業者とは」
専門業者間の見積りの差とは何だろう。たとえば3社の基礎工事において、生コンは同じ単価で購入しているはずだ。違いは利益の差・見積の見落とし、勘違いである。図面には細かい部分まで書いてない。ベタ基礎の排水や、配管スリープは図面に書いてない。きっちりした基礎専門業者は図面に書いていなくても単価に含めている。仕事を取りたい基礎専門業者は最低の工事範囲の見積りをだす。寒かろうと温度調節はしないし、雨が降っても養生はしない。安い専門業者は手が悪いことの方が多いのだ。

B「施主直接の工事で楽しい仕事ができる」  
安い業者の集まりでよい仕事ができるだろうか。いまこのご時世、安い業者といえば、倒産の可能性は高い。提出見積金だってぎりぎりのはず。専門業者は契約書上、自分の工事だけ考えればよい。お金の支払いが建て主直接となると楽しいはずだ。

C「アメリカもOSシステムが多いので安心という話」  
アメリカの住宅は簡単である。工法はみな2×4工法だ。サッシの規格はすべてインチサイズ。基礎が完了したら、次に軸組のためにフレーマーが入り、その次に電気配線というふうに、業界そのものの流れ作業が確立している。そして工事項目も少ないし、雨も日本の1/3しか降らないので工程管理は楽。だからOS方式が可能なのだ。

D「設計者がよくやる直営と同じ」  
まったく違う。設計者直営の場合は、専門業者の技能を見て、ほとんど特命で、「貴方しかやれない」と肩をたたいて交渉にはいる。  

  OSは、わずか5%のために、単価の安い20業者が初顔合わせして、仕事のない建築士が慣れない現場監督をして、最後は建て主がSOS。
   
 
建築ジャーナル 2003年 5月号掲載
 
   
   
 
17
 0はゼロではない話(シックハウス症候群対処療法としての換気扇療法)
   
    性能を細分化し、それぞれの人たちは自分の持分だけに専念し、各項目で最高ランクをめざした。防火担当者は最高の防火規制をかけ、構造担当者は木が見えないくらいの金物設置で最高耐震度建築を指導する。断熱学者もウレタンフォームの外断熱が最高と絶賛する。各分野の人たちは森を見ずして木ばかりを見た。ヤマタノオロチみたいな方向性バラバラの住宅になった。それには、日本の気候風土を考える頭は付いていない。  

  よい家とは何か。性能が何のために必要かを言う議論ががないまま性能合戦が続いた。高気密・高断熱などの性能ばかりを求めたため、シックハウス症候群が発生した。国は対策に立ち上がった。本来なら、臭いものは元から絶たなきゃだめという原則で新建材に規制をかけるべきだが、建材業界の経営のことを考えて根本対策は取らない。EOベニヤFcOベニヤなどの基準をつくった。0と付くから一般消費者は化学物質の含有がゼロと思った。住宅業者もEOベニヤやFcOベニヤを使った新建材住宅を「健康住宅」といって売り出した。新聞チラシは健康住宅のオンパレードだった。致死量の規準をクリアしているだけで、健康住宅というのはおかしいと専門家は警告していた。国土交通省は、その規準クリア住宅の実態検査をしたら、なんと3割も厚生労働省基準をオーバーしていた、。安全宣言が安全ではなかったのだ。  

  新建材と呼ばれるものは、ほとんど石油を原料とした接着剤が多量に使われている。無垢材より強いと謳ってるエンジニアリングウッドも、価値のない木片を接着剤で張り合わせた廃品回収品だ。柱や土台や梁に多く使用されている。それらは、本物の桧など薄く剥いで一面に接着剤を塗って貼り付けてあるから、プロでも本物との区別はつかない。また、木を粉末状に砕いて接着剤で固めた新建材が、ドア枠、窓枠巾木などの造作材に使われている。安物家具のカラーボックスと同じ程度の建材が何千万もする住宅に使われているのだ。これらの接着剤だらけの新建材は、高気密住宅で、接着剤の化学物質が充満する。コタツの中のおならと同じ原理である。それを防ぐために一日中廻しっぱなしの換気扇をつけることが対策らしい。  

  新建材を使わないで、無垢の木と漆喰にすればよい。無垢の木は湿気を吸ったり吐いたりするので、縮んだり伸びたりする。住宅の気密化には不向きである。だったら、気密性を捨てればよいではないか。  

  新建材もやめ、気密化もやめ、外断熱もやめ、無垢の木と漆喰の家がよいとなると、なんだ日本の家だ。個別に特化した性能を求めるのではなく、漢方医学のように何となく気持ちのよい家をめざす工法がよいと思う。  

  新建材による毒ガス発生原因はそのままにして、換気扇での対処は根本対策ではないので次の問題が発生する。最近、インフルエンザ菌での死亡が交通事故の3倍にもなったのも、高気密・換気扇による家の異常乾燥のせいかもしれない。シックハウス症候群対処療法は、次に新たな問題が発生する。防蟻剤被害・乾燥被害・換気扇フィルター被害などである。そのころ、ゼロと0とは違うと言った行政の担当者は異動でもういないだろう。
   
 
建築ジャーナル 2003年 6月号掲載
 
   
   
 
18
 換気扇メーカーは歓喜し、われは歓喜せん
   
   7月1日からシックハウス症候群対策のための改正建築基準法が施行される。シックハウス症候群が話題となり、規制規準ぎりぎりの家を健康住宅といって売ることが多くなったので、法律をつくって規制しなければならないことは理解できる。しかし、指導する現場は混乱している。指導する方も、される方も、おかしいといっている法律が国会ではすんなり通過した。予想される問答集を<指導される側=Q、する側=A>として列記する。

Q.新建材を一切使用しない土壁の住宅でも換気扇が必要なのですか?
A.ホルムアルデヒド含有の家具をもち込む可能性があるので、万民公平の原則で規制をかけます。

Q.家具を新調しない家も規制するのですか?居室で火鉢を使う人に内装制限をかけるのと同じでは?
A.ムムムム・・・・・・・。

Q.夏期、温度上昇による化学物質放出量が多くなりますが、その反面、夏は窓を開けるので、換気扇に頼らず自然換気がよいのではないのでしょうか?
A.エアコンが一般化し、夏といえども窓は開けません。

Q.エアコンをつけない家も規制するのですか?
A.ムムムム・・・・・・・。

Q.外国の規準よりきびしいのはなぜですか?
A.日本は南国です。温度上昇による化学物質放出量は外国より多いのが理由です。  

Q.さっき日本はエアコンが一般化していると言ったではないですか。
A.覚えていましたか。ムムムム・・・・・・・・。

Q.換気扇にはフィルターが伴います。フィルターにダニやカビが付着して新たな問題が発生するのではないですか?
A.今回の規制は化学物質に対するものです。ダニやカビの問題は厚生労働省の問題です。

Q.家一軒に換気扇をたくさん設置しなければなりません。(財)ベターリビングは換気扇斡旋で非常に元気が出ているのはどうしてですか?
A.換気扇にベターリビング認定のシールがついていれば財団に1枚あたり2000円のミカジメ料が入ります。財団には天下りをたくさん受け入れてもらっているので少しは貢献しなくてはなりません。

Q.最近、墨や珪藻土など、ホルムアルデヒドを吸着する材料が増えています。換気扇より効果があるかもしれませんがいかがでしょうか?
A.炭や珪藻土は、(財)ベターリビングが取り扱いをしていませんし、炭や珪藻土の業界には天下りがいませんので。

Q.化学物質放出量は5年間でなくなるといわれています。そのあともずっと換気扇をまわし続けるのですか?
A.原子力発電所をつくるのは国策です。電気の消費は大事なこと。日本経済発展のためにまわしてください。また、換気扇の寿命は4万時間といわれています。正直に24時間とフルにまわせば4.5年でこわれます。この法律はよく考えられています。

Q.熱交換気扇は水蒸気は屋内に戻す構造であるため、化学物質を屋内に戻す危険性があるのではありませんか?
A.安心してください。換気扇メーカーが除菌イオン発生装置換気扇を開発しました。これからどんどん商品が出てきますので期待してください。
   
 
建築ジャーナル 2003年 7月号掲載
 
   
   
 
19
 禍苦忍死ん逝(確認申請)
   
    高級なお菓子を頂いた。まず、豪華な手さげ袋・デパートの包み紙。厚紙の四角い箱。きれいに塗装した金属の缶。中を開けたらお菓子一つずつがセロファン紙に包んである。中身にたどりつくのに5つの関門がある。中身の重さと包装の重さを計ったら、包装のほうが重かった。もらい物だからあまり文句も言えないが、自分ではお金を出して買う気がしない。一般的に包装はサービスらしい。サービス品の原価は、きっちり御菓子本体の原価に乗っている。本体よりサービス品の方が金がかかっているような気がするのだが。 ナンカ、建築業界の設計費に似ている。

  家を建てるなら設計はサービスという建設会社がある。建てなくてもサービス設計をしてくれるらしい。世の中にはカスミを食って生きている設計マンがいるとのうわさ。私も頼めないだろうか。もし、できるのなら、スタッフ不要で、私の事務所は蔵が建つのだが。家を建てるとき、建築確認書を行政に提出しなければならない。当然、現場で使う図面を添付する。確認申請時、図面を修正液で修正すれば現場には伝わらないと原図修正をさせる主事もいたほど、図面を重んじた。主に必要な図面は、平面図・立面図・カナバカリ図・構造図・基礎図だろう。しかし、最近は更に、構造壁量計算表・筋交偏芯チェック図・金物種類設置図・(H12から)・内装仕上げ面積表・機械換気計算表(H15から)が追加になった。工事をするとき、大工はこれらの追加図面を見ることはない。大工は必要が無い。施主も必要が無い。だれも見ない塩漬け図面を確認申請の為だけに書かなければならない。建築基準法との照合の為だけに、役所が必要というのなら資料はやるから、必要な人が自分で書けばと言いたい。

  誰も見ない図面は先ほどのお菓子に例えれば包装紙のようなものだ。それらを作製するのに、膨大なエネルギーと費用を要する。工事に必要な直接図面より、工事に不要な間接図面の方が枚数が多いとは何事だろうか、最近設計業界の仕事が少なくなったので、このような周辺業務が増えれば商売になり、喜ぶべきだという意見があるが、中身より包装のほうに時間を取られる設計という業務をどう考えたらよいだろうか。建築系はほとんどが理系の工学部に属しているが、理系離れという世の状況に合わせて書類作製を重んじ、文系にする魂胆なのだろうか。  

  こうなれば、建築基準法は無い方がよいのではないかと思いたくなる。建築基準法が無ければめちゃくちゃな家が建ち並び、スラム化すると行政はいうが、箸の上げ下ろしまで基準法で規定化した現代より、建築基準法が無かった時代の建物のほうがずっと良いと思うのは私だけだろうか。
   
 
建築ジャーナル 2003年 8月号掲載
 
   
   
 
20
 樅ノ木はノコッタ、ノコッタ(樅の木販売にがんばってる様子)
   
    日本の主要な建築構造材は杉と桧だったが、特別なお金持ちは栂を使用した。いわゆる「栂普請」である。天然の自然林からしか取れない栂は高級木材であった。
  戦後しばらくして、アメリカからファー材が輸入され始めた。ファー材は腐れ易く、白蟻の被害も受けやすいので日本の建築関係者は使わないと木材業者は高をくくっていた。
  それまで、需給のバランスがとれていた建築業界にも競争が始まった。ファー材は素直で加工がしやすく安価であった。腐れや白蟻の問題は後で出てくる問題であり、言わなきゃ分からないことであり、建築業界は競争に勝つことが一番の命題であった。輸入木材業界はファー材を米栂と命名した。そして、日本の杉に変わって米栂が主流になった。外材流通業界の命名作戦は当った。米栂の価格は上がったのに、逆にシェア-は伸びるという不思議な現象だった。しかし、20年ぐらいしたら腐れ・白蟻に弱いことがばれた。それで、外材流通業社は輸入先を買えた。北欧に変えた。樅ノ木である。クリスマスツリーの木でもあり、馴染み深い。すんなり日本人には受け入れられた。

樅ノ木の売り込みの広告を見てみよう。
室内空気  樅ノ木から放散される成分により、室内の空気が浄化されます。室内汚染の代表的な化学物質であるホルムアルデヒド等は化学分解されます。
肌触り  触っても違和感のない肌触り、また、床に適度の弾力があり歩行時や衝突時のショックを和らげてくれます。ストレスが溜まりません。
消臭  樅ノ木は極めて微香性です。室内の生活臭や台所の臭いが逆に消臭され、またタバコの臭いも消臭されます。
光  無塗装、植物性塗料仕上げの床や壁は光の反射量が適当で瞳孔の開きが一定し、ストレスを感じさせません。
音  視界に入るもの、臭いとして感じるものや、耳で判断することが人間力を高めます。五感の中の一つである聴覚は自然素材の出す音は不快には感じません。
湿度環境  乾燥しますと大きな狂いもなく吸収し、多量の水分を給排水してくれます。室内湿度は殆んど安定して60%程度を維持します。
温熱環境  空間に不純物が少ないため空気温度の伝導速度が速く、一旦床や壁が温められたり、冷やされたりすると蓄熱性能がある床、壁は温度を維持します。
ダニ・ゴキブリ 室内温度が適当で放散されるフィトンチッドの忌避効果により虫が住み着きにくく、外部より侵入するダニや菌類が死滅しやすい。

  よくもこんなに饒舌に説明がつくのかと感心させられる。棺おけの材料に適してるくらい、腐りやすく、香りもなく、耐久性は米栂以下である樅ノ木を、こんなにすばらしく表現できるのかと。(木ならなんでも表現できる性能)林業復権を願っている行政関係者は林業組織の維持にお金を使うより、樅ノ木関係者に見習って、杉の広告にお金を使った方が良いのではないだろうか。
   
 
建築ジャーナル 2003年 9月号掲載
 
   
   
 
21
  IHヒーター寒話T
   
   イニシャルコストが高い設備機器はランニングコストが安く、逆にランニングコストが安い設備機器はイニシャルコストが高いのが普通である。だが、イニシャルコストも、ランニングコストも高いのに、良く売れている設備機器がある。IHヒーターである。マンション建設を中心に急速に設置台数が延び、台所機器の10%にもなっている。理由は、都市ガス工事が多重下請け工事構造で、工事費が異常に高い。そこで、マンション業者はIHヒーターと、電機温水器をつければ、ガス工事は全く不要で、全体工事費は安い。安全で掃除がし易いというコマーシャルコピーは素人には受けが良く、ランニングコストをわざわざ言う必要は無い。マンションでは100パーセント近く採用している。 そこで、関係者が沈黙している欠点を挙げてみる。

電気工事が危ないかも
 普通電気容量が大きいコンセントは別回路を設ける。電子レンジやエアコンのコンセントが例である。それらのコンセント用の電線は2ミリを使う。IHヒーターは4800Wもあるので2,6ミリの特大電線を使わなければならない。電気屋さんはIHヒーターを取り付けるときに、説明書を見て始めて特大電線の必要性に気付くのである。しかし、配線は既に終わっているのでわざわざ大工さんに申し出て壁を剥がして電線を入れ直すようなことはしない。IHヒーターを初めて取り付ける電気屋さんの場合は2ミリの電線で配線されている可能性が大である。あなたの家の分電盤の電線の太さを確認してみてはいかが。

鍋が重い
 専用の鉄鍋に全部を買い換えなければならない。そして、その鉄鍋は非常に重い。「今これが流行です」「皆さん、これをお使いです」と言って、高齢者にIHヒーターのシステムキッチンを勧める。鉄鍋への買い替えの事前説明は行っているが、鉄鍋が重い説明はほとんどしていない。時に、鉄鍋が重いことを知っている客が来た場合は,アルミ鍋等軽い器具も使用できるオールメタル対応のIHヒーターを勧める。でも、火力が落ちる説明はしない。

壁が汚れる
  ガスより台所が汚れないとは嘘である。汚れの原因はガスの燃焼煙ではなく,食用油や食材の燃焼煙である。汚れについては、ガスもIHヒーターもここまでは同じである。 次から少し異なる。ガスの場合はガスの燃焼熱で上昇気流が発生し、上部のフードに捕獲される仕組みで、フード周りが特に汚れる。IHヒーターでは上昇気流が発生しないので、汚れは八方方向に分散し家全体が汚れる。さらに、IHヒーターの台所には防煙たれ壁が基準法上不要なので、汚れた煙はリビングへと流れる。徐々に壁が汚れるので気が付かない。これを「ゆで蛙現象」という。IHヒーターに珪藻土内装のお家の奥さん、壁の臭いを嗅いでみては。
   
 
建築ジャーナル 2003年 10月号掲載
 
   
   
 
22
  IHヒーター寒話 U
   
  高い電気代
  IHヒーターの消費電力は4800Wである。50A契約電力の容量で、消費はエアコンの6倍である。省エネの掛け声は良く聞くが、電力をいっぱい使うIHヒーターは止めようという話は聞かない。むしろオール電化を勧められ、原子力発電所建設の必然性の一翼を担わされている。 電気とガスと灯油ではどれが一番安いかという話題のとき、一番安いはずの灯油会社は無言であるが、電力会社とガス会社は声高に省エネを強調する。同じお湯を沸かすのに電力会社はガスの81パーセントというし,ガス会社は電気の62パーセントという。普通、会社が大きい方が情報隠蔽の可能性は大きいのだが,どちらも大会社のときは判断に迷ってしまう。通産省は党首討論みたいに 同じ土俵で電力会社とガス会社の討論会を開催してくればよいのだが絶対しない。

火力が弱いのではと言う消費者へ

  IHヒーターの原理は鉄鍋全体を温める。ガスヒーターは底面を炎で温めるので部分的に高温になる。よって、ガスヒーターは野菜炒めがパリッとした仕上がりになるがIHヒーターではならない。「火力が弱いのでは」という問いに対して、「発熱カロリーは数値上充分です」という説明に、なんとなく納得してしまう。まあ、一般的に料理を嫌いな人がIHヒーターを選択しているので問題無しかも。

電磁波は体に安全か
  電力会社の電磁波に対する見解を列記してみる。 「米国では、数多くの生物学的研究が実施されたが、そのほとんどが電磁界の健康影響を否定する結果となり、電磁界が人体に有害な影響を及ぼすという証拠は認められないとする米国の見解と同じ」 「現時点において、住環境で生じる商用周波電磁界に関する規制や基準を緊急に策定する必要は小さいと考えられる」 「小児白血病と磁界計算値との間に弱い関連性を示めしたが、脳腫瘍については関連性は認められず、症例が少なく統計的な精度が低いことが指摘できる。電磁暴露と小児白血病との関連についても,偶然と言うことで説明できる」 危険性を訴える欧州の意見は無視し、米国に追随する。米国の意見もIHヒーターをベースにした意見ではなく、一般的な電化製品の磁界レベルの話である。 専門家の警告は40ガウスも出るIHヒーターを、子供と妊婦に対して注意を呼びかけているのである。携帯電話を使い、パソコンに漬かりっきりで、IHヒーターで料理する妊婦がお腹を近づけることを想定した実験はどこでもされていない。厚生労働省は「今後調査が必要」と発表しているのに早々と電力会社は安全宣言をする。 お腹の赤ちゃんは助けてと叫んでいる。アイはヘルプや。
   
 
建築ジャーナル 2003年 11月号掲載
 
   
   
 
23
 民家は違反建築のお陰で存続してきた
   
 
 平成12年から全国的に、住宅でも完了検査をうけるようになった。それまでは、年金融資を使わない限り完了検査を受けることはなかった。住宅金融公庫利用の時は中間検査だけの検査だったので、構造検査工程までは、建築基準法を守っていればよかった。大工さんも建築確認は、申請専門の設計事務所に依頼し、確認の図面は登記のためだけに、別に大事に保管し、工事には使わなかった。つまり、図面には筋交いが入っていても、現場では土壁貫仕様の施工は建築基準法と無関係に行われていた。
  矛盾だらけの建築基準法もそれなりに害はなかった。有名建築先生も、内装制限無視で暖炉を付けたり、厨房天井を板張りにしたり、ベランダの高さを低くしたり、検査無しの恩恵を充分に受けていた。日本の代表的な建築雑誌も違反建築のオンパレードだったが、法律の方がおかしいので、だれも違反建築と指摘はしなかった。平成12年からの全棟完了検査になったら、様子はがらりと変わった。今までは建築基準法は図面の上だけで良かったものを、まともに現場で見直さなければならなくなった。
  民家再生が最近見直されている。資源の有効利用に良いとか、長寿命住宅のモデルでもあるとか、建築以外の良識派には人気がある。しかし、建築関係者は渋い顔をする。建築基準法が適合しないのだ。日本の建築基準法は日本の建物には適合しないことを露呈しなければならなくなった。寝ている子供を起こさなければならなくなった。
 
  • 200u以上の排煙内装制限は適当ではない。
  • 土壁耐力0.5の不合理(解消予定)
  • 居室換気扇設置(真壁以外の建物)
  • 22条内装制                      等の法律が邪魔をしている。
   民家は殆どが200uを超えているので、排煙設備が必要となる。2間毎に40センチ厚の差し鴨居が廻っているので、排煙設備は確保できない。差し鴨居を排煙のため素直に外している人もいる。また、天井に不燃材を貼れというひどい指導もある。
 民家は、みなさんの違反建築のお陰で存続してきた。が、真面目な建築士が増えれば増えるるほど、確認不適合建築と認識され、解体処分し、民家は日本からなくなるだろう。
 日本の建築は、お城とお寺だけは残ることになる。行政諸氏が自ら関わる建築には建築基準法に適合しなくてもよいからだ。桂離宮は基礎高300に基準もないし、今再建している木造5階建ての熊本城にはホールダウン金物は付けなくて良い。このような法律の不公平を理解できるものではない。建築士よ。国会議員に政治献金を贈ろうではないか。贈ってないから催促のいじめかもしれない。
   
   
 
建築ジャーナル 2003年 12月号掲載
 
   
   
 
24
 へんなおじさん+なんでだろう 1
  (メロディをつけて読んでください)
 
  • 野菜は無農薬にして欲しいけど、虫食い部分はきちんと外して欲しいというおばさん。
  • 農協に出荷する野菜には農薬をたっぷりかけるが、自分はその野菜は食べないお百姓のおじさん。
  • 曲がったきゅうりは嫌いという消費者はいないのに、曲がったきゅうりは消費者が好まないと言う農協のおじさん。
  • 手打ち蕎麦の看板は出しているが、機械で打っている蕎麦屋のおじさん。
  • 公共事業は減らして欲しいが、我が田舎だけには新幹線を通して欲しいというおじさん。
  • 飛行機はがら空きなのに、新幹線と高速道路が同時に開通する鹿児島本線。航空会社は、更に赤字。国債発行のシーソーゲーム。
  • 新幹線が八代にやって来る。博多や北九州の人はどんどん来て欲しいが、八代人が博多や北九州に買い物に行き、八代では買わなくなることは考えていない政治家先生。
  • 自然保護のためダムは反対。でも発電が減るのはいやというおじさん。
  • 携帯電話用の電波は良く聞こえるように、電波塔は建てて欲しいが、近所での建設はいやというおじさん。
  • 厨房メーカーはIHヒーターは安全という。電力会社がそう言うからとのこと。電力会社は、アメリカがそう言うからとのこと。携帯電話を使い、PCに浸かりっきりで、IHヒーターにお腹を押しつけている主婦はアメリカにはいない。
  • 健康住宅のハードルは床に置いてある。ほとんどの住宅メーカーはパス。
  • オール電化は安全で好きだけど、原子力発電所は我が町に来ては困るというおじさん。
  • 人口は減っているのに、原発をあと13基増設するという政治家先生。
  • 電気は限りある資源です大切に使いましょうと広報し、別の係りでは、電気を湯水  のように使うオール電化の利用を薦める変な電力会社。
  • 太陽光発電を屋根いっぱい付ければ、電気代は限りなくゼロで、環境に優しいとい  うが、製作時に耐用年数ぐらいの電気代を使う。
  • 自分は節があっても無垢材の住宅に住んでいるのに、お客さんには、健康住宅星4  個と言って新建材の家を薦める住宅会社の社長さん。
  • ユニットバスや組み立て階段や組み立て下駄箱を使い、構造材もプレカット材を使ったら自分の仕事が無くなるのに、仕事が無いと言っている大工さん。
  • コストを下げて受注量を倍に伸ばすことを指導したら、建設屋さんは半分になることを言わない建築経営指導のコンサルタント。
 
   
   
 
建築ジャーナル 2004年 1月号掲載
 
   
   
 
25
 へんなおじさん+なんでだろう 2
   (メロディをつけて読んでください)
 
  • 経営指導に儲け話をたくさんしてくれるコンサルタントのおじさん。自分がすればよいのに。なんでだろう。
  • イタリアに行けばイタリアの家がある。フランスに行けばフランスの家がある。日  本には、日本の家がない。
  • 日本のモデル住宅は北欧の家、カナダの家、フランスの家はたくさんあるのに、韓国の家、マレーシアのモデル住宅はなんでないのだろう。
  • 日本は林産国である。目の前に木は山ほどあるのに、粗悪な材木を地球の反対側か  ら運んで外材を使う不思議な国「日本」。
  • 木造住宅は環境保全に良いと言いつつ、重油で木材を人工乾燥する、木材業のおじさん。
  • ODAを受けている国の家は100年もつのに、ODAを供出している国の家は20年使い捨て住宅。
  • 大工手間は高いと言っているが、自分は大工の倍の給料を取っている住宅会社の営業マン。
  • 大工さんが居ないから簡単住宅になると言う東京の建築評論のおじさん。地方では大工さんに仕事が無くて困っているのに。
  • 病気になったらお医者さんと話す。裁判になったら弁護士さんと話す。人生で1番  高い買い物の住宅は営業マンと話す不思議さ。設計士は腐るほどいるのに。
  • 木の切れ端を集めて接着剤で固めた木材を、エンジニアリングウッドと絶賛する。   本物の木は山ほどあるのに。
  • 住宅設計の神様と言われる吉村順三設計の家は品確法ではランク1にもならないが、最近のりかちゃん人形みたいな家が高ランク4になる変な品確法。
  • 自分が入札されるのはいやだけど、自分の設計の工事は入札で決める建築家先生。
  • 日本の木は乾燥していないので売れない、といって乾燥機械を国から買ってもらったのに、ほとんど稼動させていない木材屋さん。 
  • マンション広告の下に書いてある施工会社は○○建設。販売代理は○○住宅。売主は○○ホーム。どの会社がマンション工事の責任を取ってくれるのだろう。
  • サリン事件で有名になったクロルピリホス成分の防蟻剤は使用禁止になった。人間に害があるという。住宅金融公庫は、砒素化合物を含有した防蟻剤を推奨している。なんでだろう。

   
 
建築ジャーナル 2004年 2月号掲載
 
   
   
 
26
 商学部建築学科 1
   
   住宅建築が景気活性化の道具や商売の一部として扱われてきた。最近、建築産業が工学部管轄ではなく商学部管轄のように思えてしょうがない。いくつかを列記してみる。

第一講座・トッピング商法
住宅の価格は仕様に左右される。仕様が違えば価格は変わることは当たり前だ。しかし、仕様には会社の独自性があるので、車みたいに仕様統一が住宅業界にはない。そこで各社は独自に標準仕様というものを作っている。標準価格坪単価35万円住宅という低価格住宅が多くなった。普通の人は、一番採用されている仕様を標準仕様と理解する。しかし、メーカーの標準仕様とは、網戸無し・内装はプリント合板・ボイラーは20年前のガス釜・厨房セットは公団型・可能な限りレベルダウンして見せかけの価格を下げた内容だ。網戸や下駄箱やTVアンテナや外部水栓や内障子等はオプションらしい。うどん屋のトッピングメニュー方式のように、かけうどん250円を最低基準にしているのに似ている。標準仕様という表示ではなく、何にも含まれていないので「最低仕様価格」と表示すれば理解できるのだが。

第二講座・床下商法
この講座は古くからあるので認知度が高く、人気がある。もう日本では通用しないかと思われていたが、今だに使われている。床下を無料検査するといって床下に潜り、ポケットから白蟻を出し、白蟻の存在を示し白蟻予防工事を行うのである。リモコンとTV画面を使ったハイテク戦法もある。 また、床下に湿度計を入れて、室内の湿度と比較して床下の除湿装置を勧める方法がある。床下の方が温度が低いので、床下湿度が高い数値を示すのは中学生の教科書の理科レベルで理解できるが、日本人は試験では理解できても応用学問には弱い。すっかり我が家の床下は湿度が高いと思い込んでしまう。床ベニアフローリングは20年の経てば接着剤が剥がれ、床がブカブカするので、湿気で床が腐っていると勝手に思い込んでしまう。渡りに船である。床下換気扇の機種は大メーカーが作っているので信用度が高く、根強い人気があるが、(殆ど効果なしというデーターは後の号で+発表予定)。床下換気扇は電気配線が伴い素人では工事が出来ないので、最近では石粉ゼオライトを床下散布するのが多くなった。原価1万円程度のものを50万円くらいの定価と表示しているが、特別価格で20万円までは値引きしてくれる。それ以上は引かないとのこと。ダンピングはしないそうだ。

第三講座・消火器商法
消防服を着用して「消防署の方から来ました」と言うらしい。消防署の方角という意味である。消防署が消火器の設置推進をしている旨を喋る。当たり前のことである。ホームセンターで4000円程度の消火器を2万円ぐらいで販売する。高く売るのは違法ではない。サイデングとビニールクロスの家を坪70万円で販売している住宅メーカーもあるのだから。
   
 
建築ジャーナル 2004 3月号掲載
 
   
   
 
27
 商学部建築学科 2
   
  第四講座・分母拡大商法
日本人は坪単価に弱い。坪単価とは建築総金額を延べ面積で割った金額である。建築行政は、とにかく延べ面積を増やしたがる。
@ベランダの手摺の高さより手摺から軒先の距離が短い場合。
A壁又は柱に囲まれている部分。
Bアパートの廊下。
C小屋裏も最高天井高が1,4M以上の場合・以上を延べ面積に算入しなければならない。
登記上の延面積は40坪でも建築基準法上延べ面積が50坪になる。分子が一定で分母が増えれば単位数字は小さくなる。40坪2000万円の家の坪単価が50万円/坪であっても、建築基準法上の延べ面積を採用すれば40万円/坪と安く表現できる。特に、鉄筋アパートやマンション価格での表現が多い。

第五講座・恫喝商法
阪神大震災のあと建築基準法が変わった。筋交いの入れ方やボルトの基準が変わった。能力の無い指導員でも検査が出来るように簡単マニュアルでの金物設置である。法律が変われば、既設建物は、当然耐力不足の違反建築となるが、違反といったら失礼になるので、確認不適合建造物と表現する。平成12年以前に建っている建物は、ほとんどが確認不適合建造物と表現でき、いかにも耐震性が劣ると思わせる。 まず無料の耐震診断を行う。新建築基準法とすこしでもずれがあれば、震度7の地震が来たら倒壊するおそれがあるという調査報告書と提出し、膨大な補強工事を行う。地震に対して心配している人が相談を依頼するので、相談調査物件のほとんどが補強工事対象物件と化す。相手の懐具合で工事範囲と内容が決まる。この場合は完全に合意であるので違法性は無い。詐欺ではないのだ。床下や小屋裏に潜っただけで、耐震診断が出来るわけがない。見える部分の束や梁に、要・不要関係無く金物が設置してある。会社はTVでも宣伝している大会社なので訪問戦士は、堂々と注文が取れる。ほんとうは、家全体をバランスよく耐震補強工事をするには、充分な耐震設計が必要で、床下に潜っただけで診断できるものではないのに。

第六講座・展示場商法
主にテラスや塗装工事が多い。お宅の家をテラスの展示場にして欲しいと申し出る。原価10万円ぐらいの商品を60万円ぐらいと表示して、展示場価格30万円の値引きする。北道路でテラスは南に付けるので外部からは全然見えない家にも展示設置と言って勧める。 塗装の展示商法もある。屋根の塗装工事は、価格を上げれば、屋根を新品の陶器瓦と葺き替えるより高くなり、異常価格がバレやすいので外壁塗装とのセットが多い。アフター専門業者とのことだが、注文をとってから塗装屋さんに発注する。

第七講座・点検商法
浄化槽の蓋・浄水器・風呂の排水・上水道の配管・便所の換気扇・等の点検をして法外な簡単工事を行う。消防法で、火災報知器設置の義務化が噂されているので、火災報知器の設置点検商法が新規参入することだろう。

   
 
建築ジャーナル 2004 4月号掲載
 
   
   
 
28
 金物パトリオット工法
   
 

 金物を重視した建築基準法は伝統工法には冷たい。でも法律には必ず穴が空いている、ざる法であればあるほどその穴は大きい。建設省告示1460号は金物設置の基準であるがその穴を紹介しよう。告示で金物設置を余儀なくされ、検査が終わったらはずしているという話しを良く聞く。そんなことをしなくても抜け道があるので利用して欲しい。
  告示の計算は、出隅には筋交いを入れるものと決めつけ、屋根荷重も出隅は軽いと決めつけている。よって出隅は、引き抜き力が大きくなると予想し、引っ張りに抵抗力のあるホールダウン金物設置の基準が基本である。であれば、出隅に筋交いを入れなければ、又は、筋交いを弱くすれば、引っ張り力が無く、引っ張り金物は要らないという屁理屈である。この原理を活用し法則化してみた。

建設省告示1460号の簡易算定式に当てはめてみよう。
 
  • 二階出隅には筋交いは入れない。出隅はX・Y共開口部にする。
  • 二階外周筋交いは30mm×90mmシングルにする。二階内部間仕切り筋交いは45mm×90mmシングルにする。
  • 一階出隅はシングル筋交いなら可。シングル筋交いを連続させてはいけない。
  • 二階外周筋交いの30mm×90mmシングル連続は良いが、∨字に設置のこと。∧字はいけない。
  • 一階外周ダブル筋交い45mm×90mmは二階に筋交いがなければ可。でも他の筋交いと連続させてはいけない。
  • 一階間仕切りダブル筋交い45mm×90mmは2連続・3連続は可。
  • 一階外周で、ダブル筋交いとシングル筋交いの連続は、シングル側の頭をダブル筋交い側に向ければ良い。
  • 一階シングル筋交い連続の時、二階の筋交い下付けが来ないようにする。
  • 一階外周筋交いの45mm×90mmシングル連続は良いが、∨字に設置のこと。∧字はいけない。
  • 一階と二階筋交いが重なった場合は、筋交い上付け同士は避ける。下付け同士や上下付けは可。
  • 1階と2階の柱の位置をことごとくズラスし、柱単独毎に計算する。引っ張りを応分に配分するなどの土壷を掘るようなことはしない。あくまでマニュアルに忠実に計算する。
  • 同じような計算が連続し見るのも嫌になる。計算間違いという伝家の宝刀もあるが、あまり抜かないが良い。
   以上の基準での筋交い設置は横応力に対して非常に弱くなるので、検査後に筋交いを追加して欲しい。検査前でも、図面より多く入っているのはよい事だという理解ある(?)検査官もいるので相談してみては。
私からは、少なくとも次の3条件は守って欲しい。

1、 梁は最低12p×24pにする。
2、 柱は12p角・三方差し、四方差し部分柱は15p角。
3、 継ぎ手は追掛け大栓継ぎ。

構造が理解できる行政官は、このいかさま計算手法をすぐ見抜ける。あまり多用して国土交通省に知れ、防除の通達がくると、せっかくのパトリオット作戦が崩れてしまう。あまり他言しないように。購読量が少ない雑誌に載せているのだから。
   
 
建築ジャーナル 2004 5月号掲載
 
   
   
 
29
 UD(ユニバーサルデザイン)住宅とは誰も食わないファミレスのハンバーグみたいなもの 
   
   熊本では、最近ユニバーサルデザイン(以下UD)という言葉が流行っている。知事が言い出したので、あらゆる熊本県の部署に登場する。バリアフリーが高齢者や障害者を対象にしたのに対し、UDは、年齢の差・障害の有無に関係なく・男女の差も無く、全ての人の幸せのための、夢のようなデザインだそうだ。
  UDは言葉ではよくわからないので、例え話でよく示される。テレホンカードとドアーの取手だ。カード左下にある窪みは、視覚障害者の人には大事なサインであるが、健常者に不便を強いるものでもないと。ドアーの取手も縦長にすれば、背が高い人も子供も利用でき、全人対応のデザインだそうで、例え話の範囲では非常に分かり易い。図書館や銀行など公共性の高い建築に、部分的に採用することはたいへん良いことだと思う。
  はたして個人の特性・好みが強い住宅に当てはまるのだろうか。「全ての人に対応した」という言葉のコピーが聞えが良いので、UD思想が住宅分野にも進出してきた。熊本に「全ての人に対応した」というUD住宅モデルハウス(将来は売却する)が2棟も完成した。UD住宅を新築すれば、住宅金融公庫も割増融資をし、県も特別枠で柱を90本無償で提供する。UDモデル住宅は、健常な人にも、障害がある人にも、全ての人に対応したスンバラシイ住宅という前触れだったので見に行った。見たら、とんでもない代物で唖然とした。グループホームと幼稚園が住宅に侵入したみたいな家だった。視覚障害の人も、車椅子の人にも、聴覚障害の人にも、妊婦の人にも、ほんの少し対応できるという幕の内弁当方式で、中途半端な間取りで、いわんや健全な人はタダでも住みたくない。個別的でないため、独自性は無い。腑抜けで、的外れで目的が全く見えない家。
  敷地の南半分は入車しやすいという車庫に占領され、土地は76坪もあるのに、庭はほとんど無い。ほんの少しある庭は車椅子と乳母車用のコンクリート製のアプローチ道路がぐるりと廻っている。室内のドアーの周りはどーんとスペースがある。トイレ・浴室はアントニオ猪木の住まいみたいで、住宅の一番中心になるべくリビングスペースは猫の額。二階建にエレベーターがあり(敷地が76坪もあり、建物が40坪程度で、歩行困難者がいれば普通は平屋にする)予算をエレベーターに吸い取られ、仕上げ建材は惨め。
  住宅設計の神的存在の吉村順三は我が家を3回も改装している。人の生活は「塞翁が馬」(意味が分らない人は辞書を引いてください)みたいなもので、せいぜい5年先までしか将来予想はつかないと吉村順三は言う。その都度、簡単な改装が可能な木構造が理想とも言っている。
  UD住宅とはファーミリレストランのハンバーグみたいなもの。赤ちゃんからお年よりまで、全ての客層がおいしいといってくれると思うのは経営者だけで、お客でおいしいと言って食べる人は、誰一人としていない。  
  UDを勉強したいという建築学生が多いと聞く。カードと取手にとどめて、これ以上発展させて欲しくない建築思想である。
   
 
建築ジャーナル 2004 6月号掲載
 
   
   
 
30
 火災警報機に警報 1 
   
   年金法案のドサクサにまぎれて火災警報機設置の法案が国会を通過した。 現在500M2未満の共同住宅や住宅には、火災警報機の設置が義務づけられていないが、この度の消防法の改正で、共同住宅・戸建て・店舗を含めた全ての住宅に対して、火災警報機設置を義務付ける。今回の法改正は、住宅火災による死者の増加が背景で、消防庁によると、98年まで減少傾向だった死者が増加に転じ、02年には992人だった死者が03年に1000人を越えて過去最悪だからとのこと。特に高齢者の死者数が増加傾向にあり、今後、高齢化の進展でさらに死者数の増加が懸念されている。死者数は火災警報機が設置されていた住宅が、設置されていなかった住宅の5分の1と少なく、火災警報機設置にふみ切ったとのこと。アメリカでも火災警報機の普及率が上昇するにつれ死者数が減少しているとの分析も理由にしている。 問題点を上げて見よう。

@死者の数全国で千人が問題だったら、八代(人口10万人)の藺草農家の自殺者は50人。有明海のノリ不作で漁民にも自殺者が出てきている。自殺者は毎年ふえて3万人の大台なのに、自殺者対策は聞かない。ほとんど放置状態。医者の誤診による死者は2万人とも3万人とも言われている。死者の数では、他の分野のほうが問題は山積している。

A消火器は5年に1回の点検。火災警報機は1年に1回の点検が必要だ。熱の感知センサーが敏感なため、台所の油汚れや埃の付着ですぐ役立たずになる。30年前百数名の死者を出した熊本大洋デパート火災のとき火災警報機は鳴らなかった。まさか点検業務まで法律にはなるまい。

B訪問販売業者にとっては朗報だ。床下換気扇を売るのも、消火器を売るのもセールストークを考え、知恵を絞っての販売だった。今からは違う。法律が応援してくれる。水戸黄門の印籠を手に入れたようなものだ。原価千円で仕入れて1万円で売る。一日4箇売れば年収1千万の大台に乗る。これは違法行為だろうか。消防法推薦行為だろうか。 火災報知器設置の次は、点検業務だ。点検費用を1件1万円と見積もれば、日本全所帯で、年間4千億万円の経済効果が発生する(死亡対策費1人死亡あたり4億円)。 おれおれ詐欺は、きっと少なくなる。彼らはこの政府推薦の点検商法に鞍替えするだろう。参入者が急増し、消費者相談センターはパニックになる。

C表札を付ける付けない。犬を飼う飼わない。消火器を置く置かない。と同レベルの問題だ。箸の上げ下ろし程度の問題を法律で決める。建築業界は、法律そのものに対して素直に受け入れる。換気扇設置法案の時も、最初は少しごたついたが、あとは非常に協力的だ。建築士会、事務所協会、共産党系の全県総連まで個人的にはおかしいと言いつつ換気扇設置の普及に努めた。今や建築基準法はバンソウコウの上からコウ薬を塗っているようなものなのに、業界は決しておかしいとは言わない。アバタも蓼もなんでも受け入れてくれる。

医師会とかの他の団体とは違う。国の回覧版組織になってしまっている。
 
建築ジャーナル 2004 7月号掲載
 
   
   
 
31
 火災警報機に警報 2 
   
  D品確法の実践化 00年設定の品確法は、任意でも加入者は5割と国は予想し、第三セクターみたいな検査の機関をたくさん作らせた。葢をあけたら利用率は1割程度。国は検査の機関に対して申し訳ない。そこで法律にすれば良いと考えた。毎年一項目づつやれば批判は少ない。 品確法は9項目から成るが、02年は外壁耐火と金物設置を法案化した。04年は火災警報機設置。いつのまにか任意の品確法はみんなが採用することになる。めでたし、めでたし。

E火災の死者が新建材によるガス中毒死か焼け死かの報告はしない。新建材によるガス中毒死を問題にしたら、建築業界に混乱をもたらすので差し控えるとの話もある。ひょっとしたら火災警報機設置はシックハウスと同じく犯人隠しの法案ではないだろうか。

F日本では価格が非常に高い。極安品で、アメリカでは千円なのに、日本では4千円である。その内、マークだけ日本製の中国商品が出回るだろう。法案策定時はこの程度の費用負担は消費者も理解をしてくれると表現している。  火災報知器には、熱感知機と煙感知機がある。2ヶ必要なのだ。電池式と電気式がある。電池式は安いが天井設置の電池の交換が必要だ。地震のあとは皆一斉に非常食・懐中電灯・電池式ラジオを揃えた。その後、定期的に電池の容量チェックをしている家庭がどれほどあるだろうか。アメリカの住宅の3分の1は電池切れを起こしているという。電池切れ警報機もあるが結構値がはる。特に、老人世帯の天井電池交換は不可能に近い。 また、電気式だと工事費が伴い3万円は下らない。常時通電しているので待機電力も馬鹿にならない。

G火災報知器を設置した家は設置しない家の5分の1の死亡率と報告を出しているが、火災報知器設置の調査は、建築関係者に聞く限り1件の調査もない。話に聞くとアメリカの調査らしい。壁が主体で、可愛い窓がちょこんと付いているりかちゃん人形の家みたいな2×4住宅の調査結果だ。またまたアメリカ志向の産物なのだ。

Hこの法律には罰則が無い。火災警報機設置違反に罰則はなじまないとのこと。それはそうだろう法律そのものがなじまないのだから。罰則がなじまないものを普通はエチケットとかマナーと言う。

I吉村順三は40年前に言った。火災対策はベランダに逃げるが一番と。そしてホテル藤田・京都国際ホテル・NCRビルに非難庇やベランダを付けた。建築当時はコストアップになったかもしれないが、アクロバットガラス拭きや外壁コーキング等の費用のことを考えると現在では元を取っている。

J消防署員は火災が無くても常に待機していなければならない。火災が無ければ暇なのだ。だったら、火災が無い時消防署員が火災警報機を付けて廻るのはどうだろうか。今や携帯電話が普及しているのだから、市内を廻っていても待機はできる。

K消防署員は、梁の燃える様子を伺って燃え盛る火の中に入り救出活動をする。イラクの自衛隊の比類ではない。最近は金物仕口が多く鉄金物が、溶けてすぐ落ちる。昨年は消防署員が死んだ。消費者に火災警報機の費用負担させるのであれば、仕口鉄金物使用業者にも葬式代を負担させてよいのではないだろうか。
   
 
建築ジャーナル 2004 8月号掲載
 
   
   
 
32
 木材乾燥について観想した感想意見
   
   最近、木材の乾燥の必要性を消費者も良く話題にする。乾燥木材は強度があり、狂いも少ないので良いという内容だ。乾燥木材はシロアリもつかないという過剰誉言まである。木造住宅は環境に優しいと言いつつ、重油を炊いて乾燥させる人工乾燥材は矛盾している。  
  CO2排出を削減しましょうという京都議定書はどく吹く風か。
  国は、金勘定しか考えない住宅産業の社長で構成した住宅諮問機関の話をベースに、短縮工期に貢献する木材の人工乾燥を勧める。人工乾燥はせっかくの杉・檜の防腐成分は抽出され、杉・檜の良さは消えてしまう。強度面から考えれば、木材が乾燥して強度が上がるのは当たり前で、問題はその強度が何時必要かということだ。(いずれ乾燥して強度はあがるものだが)
  RC造では、コンクリート打設後28日を設計強度としている。木造の場合、材料搬入時で含水率検査を行うが早すぎると思う。RC造で言えばコンクリート打設時に強度を測る人はいない。特に杉の木は伐採時含水率150%もある。自然乾燥させ、木を刻む時期には含水率30%ぐらいになっている。組立時は25%ぐらいになり、壁を塗るときは20%ぐらいまで落ちている。木材の乾燥を考えた昔からのやり方だ。
  木材の乾燥は、引き渡して人が住めば、更に進行するので、日本の大工は乾燥収縮対策として造作材にはチリしゃくりを行うし、構造材では引き寄せ代を3ミリ取る。
  日本建築でこの引き寄せとチリしゃくりが、半生木材加工建築の極意なのだ。引き寄せとチリしゃくりをしないのは手抜き工事に等しい。
  ではいつ検査をするのか。検査官が役人であれば、組みあがった軸組みに上がるのは危険なので、材料が地面に置いてある状態の材料搬入時検査が都合が良い。検査を中心に仕事が動いている訳では決してない。生ものが乾燥していく過程の途中検査はどの時点が望ましいのか検討が必要だ。行政は検査が仕事なので、検査を中心に考える。木のことは木を中心に考えるべきなのだが。
どうしても材料搬入時に検査をしたければ、次の方法を提案したい。
乾燥の観点から木造建築を見たら2通りに分けられる。
●A建築 真壁・手刻み・引き寄有り・湿式・工期6月以上・荷重余裕有り
●B建築 大壁・プレカット・乾式・クロス貼り・工期3月・荷重余裕無し
この2種類を同じ土俵で話すべきではない。
 材料搬入時の含水率を ●A建築では30%。 ●B建築では18%という基準が良い。 私の現場は全棟検査を行うが、材料搬入時は40%前後で、30%以下の材は自慢ではないが1本も無い。

乾燥検査の実情
  行政は、とにかく含水率20%の大合唱。書類と含水率計が20%を指していればよい。 意識的に小口表面を量ると、芯は40%でも計測器は20%を指針する。 乾燥が木材中心か外か平均かは、どうでも良いことで。書類が揃えばよい。
  検査用の別の材料を用意したり、測る場所を指定したりして現場では、茶番劇が演じられている。「国は裸の王様」という演題で。

含水率が150%もある杉材は、山で伐採して搬出するのは水を運ぶようなもの。山で葉をつけたままで乾燥させるいわゆる葉枯らし乾燥を乾燥材と呼ぶ人もいる。葉枯らし乾燥でもまだ含水率50〜60%である。
  木材乾燥は、化石エネルギーを使わないお天道様で乾かす方法が日本建築には似合っている。補助金で建設した人工乾燥装置はほとんど使われていない。無駄な装置である。そのことを証明する行為が、木材関係者は我が家を建てる材料は、人工乾燥材は使用しない。自然乾燥材を使う。杉の人工乾燥は、木材の質を低下させることを良く知っているからだ。
  森林産地は過疎化が進み、お陰で木材乾燥敷地はたくさんある。その場所で、自然乾燥させるほうが良い。
  人工乾燥は環境問題や質の低下で問題が多い、自然乾燥は時間がかかる。半生乾燥建築工法をもう一度考え直そうではないか。イカ料理で、生き造りか、乾燥スルメかではなく、一夜干しという方法もあるのだが。
   
 
建築ジャーナル 2004 9月号掲載
 
   
   
   
33
 石油と農薬が主成分の畳が最高ランクの健康天然建材とは
   
   畳は吸湿性や弾力性がある。赤ちゃんのハイハイから捕まり立ちにも有効であり、世の中が洋風化したとはいえ、一部屋だけは畳仕上げとの希望は圧倒的に多い。
  畳は天然素材であるから、昨年7月のシックハウス法では、畳は「規制対象外」と、特別の認定をもらい、星3ヶ・4ヶには関係ないと、畳の関係者は健康建材性を訴える。はたしてそうだろうか。国土交通省は、シックハウス対策で畳を星3ヶに指定したら、畳の管轄は農林省なので一線交えなければならない。畳は可動物と自己解釈し対象外にして、農林省との接触を避けた。可動物が対象外だったら、襖やベニアのフラッシュ戸(最近の丁番は上にあげればすぐ外れるようにできている)も対象外のはずだ。シックハウス法の内装材規制で、和風住宅だったら、畳は主要な内装仕上げなのに、規制対象外とは、なんとも的を得ていない法律である。
  そろそろ畳の話をしよう。畳表の原料は藺草である。藺草の9割は熊本県の八代地方で生産されている。八代産が畳表の9割を占めているのではない。6割が中国から輸入されている。では中国は藺草の産地かと言えば違う。中国には畳の文化はない。藺草は蝋燭の芯ぐらいにしか使用しないので1反も栽培すれば全土分はまかなえる。実は、一人の日本人が人件費の安い中国で栽培して輸入すれば、自分だけ儲かると計画したものだ。その日本人が八代出身者とは皮肉はものだ。たった一人の八代人のせいで八代の藺草産業はガタガタに落ち込んでいった。
  中国畳は畳の青さを維持するため、ほとんど、いや100%着色染土を使用している。着色染土はマラカイドグリーンという毒性の強い染料だ。化学蚊取り線香と同じ緑色で、同じ成分と思えば良い。赤ちゃんが畳の上をハイハイしながら畳に口を付けたら、蚊取り線香を舐めているのと同じ。では国産品は安全かと言えば、日本の農家も、中国に負けじと着色染土を使用している人もいる。産地の熊本でさえ、無着色染土畳を手に入れるためには、強く畳屋さんに要求しなければならない。皆さん、試しに我が家の畳をティッシュペーパーで拭いてみて下さい。青い色が付けば、それが毒性着色染土だ。
  畳は吸湿性があることが特徴であったが、ホルムアルデヒドを吸着するなど訳が分からない特徴の記載はあっても、最近のパンフレッドには吸湿性の記載が無い。ほとんどの畳が石油製品のスタイロ畳に代わってしまっているからだ。消費者が要求したからではなく、藁畳は38キロと重いという畳屋さんの都合で、いつの間にか代わってしまったのだ。吸湿効果などあるはずも無い。吸湿性を求めて、藁床と指定すれば北朝鮮藁床と思ってよい。熊本でも低農薬の生産畳床屋は1件しかない。生産が難しいからではない。消費者が要求しないからだ。
  畳表と畳床への別に不審材がもうひとつある。防虫紙である。畳をひっくり返したら、防虫紙が敷き込んであるからすぐ認識できる。ほとんどの防虫紙の主成分は有機リン農薬である。農薬濃度は普通農家が畑に撒く20倍の量である。畑散布の目的であれば農薬の表示義務があるが、国土交通省管轄では有機リンの表示義務は無い。農薬を使用しないヒバシートがあるが、なかなか畳屋さんは使ってくれない。1枚500円と高価だからだそうだ。
  本来畳は吸湿性と弾力性があり、寝そべったり、ゴロゴロするのに最適の材料である。しかし、世の中の畳が農薬だらけのプラスチックになったのは、消費者の代理人である建築設計士が畳屋さんに、品質を要求しないからだ。畳は天然素材なのに、毒性染料と農薬たっぷりの健康住宅が数多く建築され続けている。
  わずか千円程度のコストダウンで、失うものが大きすぎる。建築設計士は、予算を千円あげて、無着色染土畳と仕様書に書いて欲しい。たったこれだけで毒畳は無くなるし、セーフガードを発しなくても、中国畳輸入を当分阻止できる。
   
 
建築ジャーナル 2004 10月号掲載
 
   
   
 
34
 ものづくりはごみづくり。土は22世紀の建材なり。
   
   建築基準法の土壁の壁倍率が1.5になった。非常に設計しやすくなった。施工と土がよければ3.8まであがると熊本県立大学の大橋助教授は言う。最近、地産地消という言葉をよく聞くが、建築業界では馬耳東風。珪藻土が良いといっては、北海道の稚内の珪藻土を九州で使い、火山灰土が良いといっては、鹿児島の火山灰土を北海道で使う。たかが泥を日本の最長距離間で使う。遠産遠消が建築業界では行われている。特に自然素材を使って家を建てましたという人に多い。泥は何処にだってある。どうして近くの土を使わないのか。分った。カタログが無いからだ。カタログがあれば、舞茸がガン予防薬になり、おしっこまで健康食品になる時代だ。
  美浜原発では、作業員に死者が出て社会問題になったが、同じく作業員が亡くなった、福岡県での石膏ボード最終処分場死亡事故は、話題にのぼらなかった。偶発的な事故ではなく、起こるべくして起こったからだろうか。処分石膏ボードがゴミから発生するメタンと化学反応を起こして、有毒硫化水素が発生したのが死亡の原因だった。化学式はCaSO4・2H2O(石膏)+CH4(メタン)→ CaCO3(石灰石)+H2S(硫化水素)+3H2O(水)である。現在、石膏ボードの廃棄は年間100万d。石膏ボードの生産は500万dである。数年のうちに、廃棄石膏ボード量は5倍の500万dになるのは明らかだ。安定型の処分場で処理するため、処理費用はかなりコストアップになる。新品より、廃棄処分品のほうが高い。廃棄処理費用が高ければ、製品に上乗せすべきという意見もあるが、経済が減速するので業界は大反対。国は、やばいことは先延ばしにする。国推薦の仕様書は、壁・天井の下地材は、石膏ボードのオンパレードで、木造3階建てともなれば、石膏ボードを二重に張ったり、梁や階段も石膏ボードで包み、木造なのに木材よりも石膏ボードの使用量が多くなる。仕様書の内容はアメリカの真似であるが、ゴミを捨てる場所がいっぱいあるアメリカと日本は違うという認識が全く無い。こんなに石膏ボードを使ってよいのだろうか。
  孫の代のことを考えれば、自分が使った家の廃棄材は自分の庭に埋めなさいという法律を作ったら解決は早い。埋めた石膏ボードから硫化水素が発生するのがいやだったら石膏ボードは使わない。
  そもそも日本の住宅は土の壁だったのに、外国を真似て石膏ボード壁を使いだしたのだ。元の土壁仕様に戻すのが良い。まさに、先祖帰りの建材だ。 環境面で考えれば、土は次世代の建材かも。
  泥のカタログをライブドアか楽天が作ってくれないものか。日本各地に地産地消の運動が広がる。そうなるとトラック不要となり、ガソリンも不要、利権も絡まなくなる。政治家先生にとっては面白くない。やっぱり駄目か。

安くて良いものを提供するのが建築士の使命か
  プレハブ住宅が落ち込み、安普請FC住宅が、筍の如く出現している。昔は、不景気産業といえば、パチンコ店とジャズ喫茶と決まっていたが、近年は住宅が不景気産業ではないかと思われる。意外と年間着工件数は落ちていない。ウェイトレス程度の賃金で仕事のない技能大工を集めて、住宅を拡販するのがFC住宅である。ゴミより安い新建材は、山程ある。金物を沢山使えば、国は耐久性75年の要素を満たしている住宅と太鼓判を押してくれる。30年しか持たない安いだけのサイデングと石膏ボード+クロス(珪藻土)住宅は、ゴミづくり住宅である。こんなものを決して普及させてはならない。
   
 
建築ジャーナル 2004 11月号掲載
 
   
   
 
35
 笑うセールスマン
   
  日本の商社マンと各国のセールスマンとの会話です。

ニュージーランドのセールスマン

  「我が国は、昔、羊毛が主な産業でした。化繊に押され、羊毛はいずれ駄目になると読んだ時の政府は、牧草地に早く育つ松の木を植えさせました。そして30年が過ぎ成木になりました。さて、どうしようか、お隣のオーストラリアに売りに行きましたが、ニュージーランドの松は目が粗く水膨れの粗悪な木と揶揄され買ってくれません。」
日本の商社マン
  「そのままでは売れません。目の粗さが目立たないように、接着剤で貼り合わせて、エンジニアリングウッドと名前をカタカナにすれば日本ではすぐ売れますよ。」
ニュージーランドのセールスマン
「えっ、ほんとですか」
日本の商社マン
「そうなんです。コマーシャルに裸の女性を使えば、建築屋のおっさんはいちころです。○○ワン。買いましょう」

インドネシアのセールスマン
  「よく私たちの森林を荒らしてくれましたね、ほとんどの大木は無くなってしまいました。元の状態に再生するのに600年もかかるのです。どうしてくれますか。」
日本の商社マン
  「申し訳ございません、それでは隣のパプアニュ−ギニアに行きます。あそこにはまだ木が残っているし、政府もODAとセットにすれば、喜んで受け入れてくれます。昔良く使った木の防腐剤CCAが、現地の地下水を汚染し、部落全員が砒素とクロムに侵されています。イラクの死人と比べれば少ないので、問題にはなりません。パプアニュ−ギニアにはまだ少しラワンの木が残っています。がんばってみます。貴国にはもう迷惑をおかけしません。」

フィンランドのセールスマン
  「木を良く使う国と言えばお宅と我が国フィンランドでしょう。計画造林が生い茂り、間伐伐採時期になりました。是非わが国の木を買ってください。パプアニュ−ギニアと違ってわが国の山の木は切っても又植林するので環境破壊にはならないのです。木が多すぎて地すべりが起こる危険性があるので、循環型社会の構築のために」
日本の商社マン
  「地すべりが起こる危険性は我が国と同じではないですか、我が国土のことを考えると、日本の木を切らなければと思いますよ。買いません」
フィンランドのセールスマン
  「でもお宅の国は、地すべりが起きると土建屋さんが儲かり、そのお金が政治家に行って、林業者に回るという循環型社会ができているではないですか。我が国には公共事業に回すお金がないのです。助けると思って買って下さい。杉みたいにどす黒くなく、色白で、日本人好みの木ですよ」
日本の商社マン
  「でも虫が付きやすいでしょう。虫がついたら商品になりませんので」
フィンランドのセールスマン
  「ご安心下さい。船に乗せる前にたっぷり無臭の防虫剤をかけておきますので。」
日本の商社マン
  「それだったら安心ですね。買いましょう」

カナダのセールスマン
  「米栂は木ではない、草だとけなす人がいますが、それはアメリカの米栂のことです。我が国の米栂には強度があります。サンプルのヤング率はE100を越えますよ」
日本の商社マン
「アメリカとカナダは陸続きではないですか。」
カナダのセールスマン
「我が国には認証制度があるので木が強いのです。日本の住宅金融公庫の仕様書を見てください。床梁の適合材料には米栂が載っていて、日本の杉は載っていませんよ。お宅の国の住宅金融公庫だって、杉より米栂を勧めているではないですか。」
日本の商社マン
「では杉より米栂の方が良い木ですね。買いましょう。」 グローバル化を目指す日本丸はどこへ行くのだろうか。愚路―春(グローバルと読みます)とは、「目指すのが一瞬、春に思えるが、それは愚かな路」のことなんだけど。

日本は世界の笑いもの。
  関税率について皆さん知っていますか。米400%・コンニャク990%・落花生500%・バター330%・木材0%です。
   
 
建築ジャーナル 2004 12月号掲載
 
   
   
 
36
 その後の換気戦
   
   今年は台風が3ヶやってきた。2ヶは強烈だった。千年に一度と言われる規模の台風がこの13年間に4ヶ来たことになる。今年の台風は雨と風が強く、まるで家ごとプール漬けの状態だった。私が設計した家の半数が雨漏れした。伝統的日本建築工法は、柱と壁・渡りあごの組み手・木製建具等隙間だらけで、全く気密性が無いことを実証したのもだった。一方、最近のコーキング住宅の雨漏れ被害が少なかったのは、密閉性が良いからだった。やはりコーキングで目張りすれば、換気扇が必要となるだろう。
  シックハウス法の換気扇設置は、ダクト式3種換気が望ましい換気方法とマニュアル書は指導する。価格が高いので予算的に苦しい場合は、ダクトなしの3種換気でも良いとのことだった。
  ある雑誌の調査では、ダクト無しの排気3種換気対応が78%だと報告している。今まで普通に設置していたトイレと浴室の換気扇の能力を上げ、図面上24時間換気をしているのだ。換気扇メーカーと政府OB財団は、あれほど全国行脚して無料講習会と無料冊子を配ったのに、思うほど換気装置の売上が伸びていない。マニュアルでは各室排気孔設置(ダクト式3種換気の実施率3%)を指導したのだが、建築設計者は問答集や、マニュアルの隙間を活用してコストアップを避けた。換気扇の数は増えなかった。
  極端な例として厨房の換気扇スイッチに{切るな}のラベルを付ければ、50坪程度の大きな家でも、換気扇1ヶで充分基準をクリアーする。売れたのは換気扇より、吸気孔グリルである。換気扇の数は少なくても、吸気孔は各室に設置しなければならない基準があるからだ。吸気孔は雨の降込みを防止する屋外フードが付いており、居室の数だけ外壁に屋外フードがついている。外観はなんとも異様である。景観法なるものが検討されているが、国の担当部署が違うので、外観より健康が大事であり、世界に類をみない換気扇設置規制を自慢する。屋外フードの数で、居室の数が外観からすぐ分る。競売物件になった時、外から見ただけで、あの家は4DK・5DKとすぐ認識できる利点がある。
  室内濃度の測定基準は室温28度の環境で測定となっている。「シックハウスを考える会」は室温32度で測定すべきだと訴えるが、業界にとってハードルが高すぎるとの理由で却下。今年の熊本の真夏日は105日だった。つまり気温が30度を越える日が一年の1/3なのである。室温28度基準は北海道の気候には適合しているが、九州には合わない。
  昨年9月、国が発表したデータによると、00年はホルムアルデヒド濃度基準オーバーの住宅が28.7%だったものが、03年度は5.6%に減ったとシックハウス法の有効性を自画自賛する。検査の時換気扇を回せば、当然数値は落ちるだろう。法律のお陰でデーターは1/3に落ちても、シックハウスの相談は減っていない。「換気扇を廻さないあなたが悪いのよ。」である。台所のレンジフードを一日中廻している家が何軒あるだろうか。地方の行政官だって、換気扇で根本解決にはならないと理解しているから、換気扇のスイッチを切ることまで立ち入らない。建材の規制には甘く、有害物質放出の多い家具には規制は全くかけない。換気扇に頼るのは良策ではない。換気扇は5年で壊れるし、電気の省エネを進めれば、換気扇のスイッチを主婦は切る。
  昨年の7月から換気扇無しの住宅を12の設計をした。2軒は建具の隙間を計算して隙間相当面積を計算したもの。9軒は真壁によるもの。真壁にして、ボード状の建材(新建材)を使わなければ漏気があり、0.5回数/時間と同等の換気があるという基準があるので換気扇は付けなくて良い。新建材を止め、昔からの板や漆喰を使うことを暗に薦めているのかもしれない。ボードの替わりに、日本には杉の板が腐るほどあるのだから。

   
 
建築ジャーナル 2005 1月号掲載
 
   
   
 
37
 やっぱり木の風呂 
   
   日本人はたいへんな風呂好きである。ただ衛生上に体を洗うだけでなく、心の洗浄の役目も期待する。機能性を追及したユニットバスは、体を洗うためには合理的であるが、癒しなどの効果は薄い。しかし、ほとんどの家がユニットバスになってしまっている。ほんとうに、消費者が希望した結果だろうか。
  設計時、浴室の図面を書くとなると、基礎詳細や出入り周りや窓まわりのディテールが伴い設計図が4枚ぐらい増える。ユニットバスだと、記号を書くだけで、設計作業は、ものの1分とかからない。工事費の1割を設計費用としている人にとっては、記号1つで約10万円の収益になる。住宅施工業者も、ユニットバスメーカーにまかせっきりで手間が省けて、利益はきちんと確保できる。供給側にとっては非常に都合の良い設備機器である。
  消費者に直接浴槽の好みを問えば、桧風呂との回答が返ってくる。入浴を売りにしている温泉旅館の浴槽が、桧風呂であることからも理解できる。しかし、住宅の専門家に、桧風呂の設置の相談をすれば、快い回答は返ってこない。
  住宅の性能の基準に、「なごみ」や「やすらぎ」など住宅本来に求められる要素が含まれないとなると、基準そのものが供給者側に都合の良いものではないだろうか。
  供給者側が桧風呂をあきらめさせる理由として説明するのが、@価格が高いA手入れが大変B長持ちしない、である。もう少し真剣に検討する必要がある。
  桧風呂は材質によって価格に開きがある。価格では、高野槙・桧・ヒバの順番に高い。高野槙はヒバの2倍もするが、2割ぐらいしか長持ちしない。ヒバより桧の方が高いが耐久性はヒバの方がある。これらの材料は、白木なので、ピンク色の芯材と白色の辺材の区別がつきにくい。基本的に耐久性が高い芯材のみで製作されるべきだが、辺材が含まれていても、外観上判断は付きにくい。まずは、安い桧風呂には要注意といったところ。商社を通じて、桧風呂を購入すれば40万円は下らない。生産者から直接購入すれば25万円ぐらいである。商社を通じて25万円のものを依頼すれば、粗悪品が納入される。辺材が含まれていたり、接着剤で固めた集成材の桧風呂など耐久性は5年と思ってよい。アームレストやヘッドレストの付いたプラスチックの浴槽と比べて、25万円の桧風呂は決して高い金額では無い。
  又、長持ちさせるにはちょっとした工夫をすれば良い。工夫とは、腐朽菌が木材を分解しにくくすれば良い。入浴時以外は乾燥状態にしておくこと。方法として、お湯を熱いうちに抜くことだ。つまり、入浴する最後に人が栓を抜けば良い。熱い温度からの乾燥は乾きが早い。まな板の乾燥のことを思えば良い。一日3回水に晒されるが、その都度乾燥される。まな板を10年以上使っている人は多い。
  40年桧風呂を作り続けている熊本市川尻の職人水谷氏は、熱湯水抜きをするだけで、耐久性は15年持あるという。ただし、ユニットバスみたいな密閉浴室は寿命を縮めるとのこと。  
  浴室の中は湿度が高い。昔の住宅の浴室は、湿気を洗面所や廊下へと流し、家全体に湿気を分散化させ、適度な加湿装置の役目をなしていた。ユニットバスは湿気を狭い浴室内だけに封じ込めるため、湿度が上がり、カビが生えやすくなる。それで、防カビ剤なる化学薬剤を浸透させなければならない。ユニットバス内は種々の化学物質が放出されており、長時間入浴できるものではない。
  日本文化の特徴である「なごみ」や「やすらぎ」が日本の住宅つくりにが忘れ去られている。ちなみに、世界の大富豪ロックフェラーの自宅は桧風呂である。
   
 
建築ジャーナル 2005 2月号掲載
 
   
   
 
38
 新建材・洋風建築に手あつく、伝統建築に冷たい建築基準法1 
   
  日本の木を使わない理由
  消費者の80%は木の家を望んでいる。殆んどの人は価格が同じだったら、国産材を使用してくれと希望を出す。しかし、国産材の価格が下がり外材と同じになっても、国産材の使用はわずか18%である。では、国産材使用を妨げているのは誰だろう。 日本の基幹産業は車である。日本の車を輸出するなら、代わりに何かを輸入しなければならない。その輸出入のバランスを取る為に、国は関税をかける。米には390%、大豆には390%、コンニャクには990%も関税をかける。しかし、木材の関税は0%である。 貿易黒字対策で、日本は何かを輸入しなければならない。そこで、力が弱くおとなしい林家が標的となる。その結果、外材が輸入され林家は補助金というアメ玉一つで首を絞められているのが現状だ。その僅かな補助金も「国産材を使いましょう」という山のようなパンフレット作製費と木材関連組織運営のために泡と消える。

日本の家が作れない理由
  英には英の家があり、伊には伊の家がある。日本には日本の家がない。7割近い人はサイディングの家は嫌いというアンケート結果があるのに、日本の住宅は7割がサイディング張りである。内装は、産廃で問題の多い石膏ボードとクロスの大壁工法住宅が殆んど。ごみ捨て場がたくさんある米とは条件が全く違うのに、新築時だけ合理的な米の住宅を模範とする。それに、基準法改正が追い打ちをかける。2×4工法の石膏ボードの壁倍率が1.5なのに、日本の伝統土壁の壁倍率はやっと1.5の認定を受けた。認定が遅くなったのは、土壁の施工精度が落ちるからというが、石膏ボードも結露で濡れたら0.5もないはず。更に2×4工法は4階建ても検討中とのこと。ログハウスは準防火地域にも建築可能だが、丸太外装の日本の住宅は22条地域にさえ建築不可。

建築基準法は洋風住宅が基準。 和風住宅は無視。
ホールダウン金物 H12年より、柱の仕口に金物取り付けが義務付けられた。日本建築工法の真壁つくりには厄介な改正だ。そもそも、真壁の和風建築は、柱の仕口を長ホゾ込栓にして、屋根瓦と桁梁を大きくして、引き抜きに対する押え効果で、柱に引き抜きを発生させない工法である。そんな時ホールダウン等の金物は必要無い。この原理を証明しなければならない。簡単な略式計算で証明できるが、構造計算の苦手な建築行政官は部分計算は認めない。家全体の構造計算書を要求する。結局大工さんは金物を付け、真壁を諦め洋風建築を施主に勧める。
込栓 長ホゾ込栓を例にあげてみよう。柱3.5寸米ツガを基準にして、引き抜き耐力は650sと、日本建築を馬鹿にした基準である。昔ながらの杉4寸柱の長ホゾ込栓の耐力が1トンあることを認識させるに数百万円かかる。そんなお金はないので地方の大工さんは、結局金物を使った大壁工法の洋風に走る。
火打ちボルト 小屋組み固める手法は、いろいろな工法がある。日本建築では小屋束を小屋貫でつないで固めるか、小屋梁を太い丸太の渡りアゴで固める。渡りアゴの掛かりをうまく絡めるために、桁と梁をずらすので火打ち梁は付かない。しかし建築基準法では火打ち梁・金具止めしか認めていない。貫小屋組み固めは廃れてしまう。
   
 
建築ジャーナル 2005 3月号掲載
 
   
   
 
39
 新建材・洋風建築に手あつく、伝統建築に冷たい建築基準法2 
   22条地域における外壁・内装 林野行政のパンフレットでは、太い木の防火性能の高さを訴えている。熱伝導の高いアルミや鉄は、火災時すぐに倒壊するが、太い木材は熱が伝わりにくく、優れているという内容だ。庶民相手のパンフレットで木を使いましょうと言う前に、霞ヶ関の省内会議で、木の優位性の声をあげてほしい。
  22条規制は、火の粉が掛からない程度の防火基準なのに準防火と同じ厳しい例示規定が多い。外装と内装に分離規制したため、食い違いの傷口はさらに広がった。性能規定とは程遠く、仕様規定でしか行政指導はなされず、現場では混乱している。外装はどんなに厚い木でも駄目。石綿板は3.2oでよい。なんと不公平な基準。中空の断熱材はロックウールとグラスウールのみ。後はお金を積んで認定を受けなさいと。新建材メーカー優遇の基準。 内装は9.5o以上の石膏ボードと実加工の板張りだけ。シックイ仕上げの申請をしたら類似規定の中にないので、駄目とのこと。石膏ボードは新品購入価格より処分費用が高い。基準法の指導項目は石膏ボードのオンパレードである。石膏ボードは今フル生産である。よって30年後、建築埋立産廃が社会問題となるのは明らかである。ゴミより安い石膏ボード建築は、将来必ず汚点を残す。初期段階で、行政指導するのが本来の姿であるが、行政は知らぬ顔。建築士の社会正義とはなんだろうか。
  準防火地域にも使用できる薬物を注入した木建材があるが、燃えにくい木材を市場に出すことは問題が多い。不燃木材は外見から確認できないので、解体業者は焼却炉に入れて重油をかけて燃やすことになる。現在のCCA加圧注入木材でさえ、不燃埋め立てごみ処分へとは掛け声だけで、焼却処分されている現実には眼をつむる。

準防火地域の軒先 軒先は防火対象外とし、軒裏まで防火壁を塗り込めば木製化粧タルキが使えることになったことは喜ばしい。しかし小屋裏換気孔は仕様認定品を使わなければならない。化粧タルキ用の既製認定品は無い。既製品と性能が同じ金属板で作っても駄目である。(何百万円の申請費用があれば可能。)小屋裏換気が出来なければ建物の寿命を縮める。的を得ていない規制緩和措置。

薪暖炉に内装制限をかける 薪暖炉は化石エネルギーは使わないし、省エネ対策には、すばらしい設備機器である。著名建築家も努めて採用する。建築指導では、固定式火器使用物なので、内装制限がかかるから、内装に木を使うなとの指導をうける。建築雑誌3月号から5月号までを見たら、その3割に薪暖炉が設置されていた。住宅設計の神様と言われている吉村順三先生のほとんどの家に暖炉が付いている。天井は板張りである。薪暖炉のある違反建築が、日本の代表的建築雑誌を飾っているのは、外国からみたら茶番にしか見えないだろう。

基礎高300mmの法規 柱にも曲げ応力を負担させる方法は、日本建築構造の特徴である。柱の根元を拘束させる足固めは、ラーメン構造的要素と、基礎が破壊しても上部構造をある程度保持させる役目を果たす。しかし、H12年に基準法改正で木造の基礎は耐久性を上げる方法として、基礎高300mmにせよとの通達が出た。日本建築の本来の耐久性アップ手法は軒の出を長くすることであった。軒の出が無い洋風住宅を基準にした基礎高300mmの規制である。足固め工法という日本の伝統建築工法は、出来なくなった。

換気扇の件 シックハウス対策法で、居室の換気が0.5回/時以上必要なことには賛成である。日本建築には渡りアゴや木製建具等細かい隙間は結構存在する。その隙間を隙間相当面積というが、検査が困難なために24時間換気扇を全棟に義務づける。木製建具に隙間がたくさんある日本建築に換気扇設置は滑稽である。そんなに大事だったら、桂離宮にも付けてから指導して欲しい。

延べ面積 日本建築は軒が長い。軒を長くすると、建築面積だけでなく延べ面積も増える。二階のベランダに日本風の庇をつけると、軒先が下がりほとんど延べ面積算入になる。50坪程度の建物でも、延べ面積が200uを越えることも珍しくない。 200uをこえると排煙窓を付けなければならない。住宅に排煙設備は異様で過剰な設備。個人住宅で、火災時排煙窓を開けるだろうか。阪神大震災の時、網入りガラスが類焼を防いだというニュースで、窓は開けない。住宅では、そんな操作より、早く外に逃げる方が良いに決まっている。こんな無駄なものを強いる。内装を石膏ボードとビニールクロスにすれば、設置しなくて良いと行政から助言を受ける。

民家再生は違反建築をしないと存続できない 民家再生が最近増えている。資源の有効利用や、長寿命住宅のモデルとして、見直されている。構造面では、限界耐力解析の採用で道は開ける。しかし、問題は別にある。差し鴨居である。ここでも法律が邪魔をする。殆どが200uを超えているので、排煙設備が必要となる。民家は40p以上の差し鴨居が2間毎に廻っているので、排煙設備は確保できない。民家は差し鴨居と垂れ壁も強度を担っている。差し鴨居や垂れ壁を排煙のため、外さざるをえない。 建築基準法は、洋風に多いサイディング・石膏ボード・ビニールクロス等の新建材には甘く、真壁・シックイ・根固め・板張り仕上げ等長寿を基本理念にした日本建築には極めて冷たい。

  行政は建築士を信用していない。建築士性悪説的発想で、検査が出来ない部分は認可しない。そして、認可では無い、確認だと言って逃げ切る。
   
 
建築ジャーナル 2005 4月号掲載
 

   
   
Copyright by Furukawa Architect Design's Office 2006, All rights reserved.